社用車の駐車場契約手続きの基本
社用車の駐車場契約手続きの基本
当たり前のことですが、車を所有する際にはしっかりと決められた駐車場に駐車する必要があります。それは自家用車に限らず社用車でも同じです。もし会社の敷地で駐車可能なスペースがあった場合には問題は起こりませんが、駐車場の契約を行う場合には法人特有の手続きや書類提出が必要になります。
今回は社用車の駐車場契約に向けての考え方や注意点、実際の手続きについて紹介します。
駐車場契約の前準備
現在は駐車場1つをとっても様々な料金形態、駐車場のタイプがあります。そうなるといざ駐車場を探す際にどこにすればよいのか分からなくなります。
そこで、社用車の駐車場契約に動く前に事前準備をしておくことをおすすめします。事前準備をしておくことで、より好条件でニーズに合った場所を駐車場として契約できる可能性が高くなります。
借りたい駐車場の要件定義
社用車の駐車場を探す際に求められることが多い要件定義は複数あります。
- ・駐車場と会社の距離は最長でも直線距離2km以内であるか
- ・自動車保管場所(車庫証明書)を取得できる駐車場であるか
- ・防犯対策がなされているか
- ・十分な駐車区画が確保できるか
車庫証明書の発行には住所と駐車場の直線距離が2km以内と定められています。そのため駐車場と会社の距離は注意深く確認しておく必要があります。
多くの駐車場は車庫証明書を取得するにふさわしい駐車場です。しかしコインパーキングなどの駐車場は車庫証明書の発行が難しいことがありますので、契約を考えている駐車場が車庫証明書を取得できるかを確認しておきましょう。
防犯対策がされていなかったり、駐車区画が狭い場合には事件や事故へのリスクが上がるため、駐車場を探す際には気にして見ておきましょう。
予算とコストの見積もり
社用車の駐車場を契約するにあたって初期費用と共に、月もしくは年間の駐車料金などそれなりにコストがかかります。ほとんどの方々は月々のコストは気にしても初期費用まで考える人は少ないでしょう。
特に契約初月は契約の際にかかる手数料、敷金などでコストが割高になるケースが多い傾向にあります。あらかじめ初期費用の内訳を確認しておきましょう。
駐車場の料金はできるだけ抑えたい人が多いでしょう。その場合には近隣駐車場と相見積もりをすることでより安く駐車場を借りることができます。
駐車場の選定基準
各々で契約する駐車場に求める条件は違いますが、多くは利便性・安全性・安価を求める人がほとんどです。どこを重要視するかで選択する駐車場は変わってくるため、選定基準をあらかじめ考えていくことが重要になります。
今回は利便性・安全性・コストの部分で重要な点をご紹介します。
アクセスの良さと立地条件
利便性という点で考えると駐車場と会社の距離は非常に重要です。徒歩で移動する場合にはできる限り近い方が良いでしょう。平均的には徒歩5分圏内に駐車場を借りる会社が多い傾向にあります。
車庫証明書の取得のために駐車場と会社の直線距離は2km以内にしましょう。徒歩5分圏内の駐車場を探す場合にはこの条件は難なくクリアできるため大きな問題にはならないでしょう。
セキュリティと安全性の確認
駐車中の事故や事件へのリスク対策として、セキュリティや安全性の確保は必須です。社用車を守るためにも最低限のセキュリティ状況に関して情報収集をしておきましょう。
確認する点は、以下です。
- ・管理人や係員の巡視があるか
- ・監視カメラがついているか
- ・照明があるか
この点を抑えておくとセキュリティ面としては安心です。しかし、セキュリティ面がしっかりしている駐車場は、駐車場利用料が割高になるケースが多くなります。掛けられるコストとセキュリティ面の両方を検討し、ニーズに合った駐車場を契約しましょう。
コスト
駐車場利用料金は、地方や都市圏では大きく差があります。適正価格で駐車場を利用するためにもその土地の相場を把握しておくことが重要です。
駐車場を契約する際には月々の料金の他に、初月の初期費用が加わってきます。初期費用は駐車場利用料の前払いとして1ヶ月分の賃料、仲介業者を利用した場合には仲介手数料が必要です。
月々の料金・初期費用の他にもコストがかかる場合があります。鍵付き駐車場や立体駐車場などでは鍵やリモコンなどの保証金が必要です。
契約条件の交渉
駐車料金は毎月支払うコストとなるため、できるだけ抑えておきたいと思うのが自然です。実は駐車場の利用料金やコスト、条件は交渉次第で変更できる場合があります。今回は交渉の方法のコツをご紹介します。
契約期間と料金の交渉
値下げ交渉をする際には直接貸主と交渉するのがおすすめです。
仲介業者を利用しない貸主は集客が難しいため、少し条件を変えてでも貸したいと思う傾向にあります。
直接契約できる駐車場は、インターネットやSNSなどで募集があります。見つけ次第、直接連絡を入れてみましょう。
追加料金や隠れたコストの確認
駐車場の契約には想定していなかったようなところにコストがかかり、特に初期費用の部分には隠れたコストが存在しています。
駐車場契約時のコストには、賃貸住宅と同様に前家賃、敷金も発生するため初期費用の見積もり明細を確認しましょう。
車庫証明書を取得する際にもコストがかかります。貸主や管理者から「保管場所使用承諾証明書」を発行してもらう必要があり、この手続きにも手数料がかかります。
このように様々なコストがかかってくるためあらかじめ予算を決めておき、しっかりと見積もりを行いましょう。
契約書の募集条項と注意点
駐車場の契約に限った話ではありませんが、後々のトラブル防止のためにも契約前に必ず契約書の内容に目を通し納得した上で契約をしましょう。
特に金銭、事件・事故に関わる部分に関しては、より注意して確認をしておきましょう。
契約書のチェックリスト
駐車場契約に必要な書類は「駐車場賃貸借契約書」もしくは「駐車場使用契約書」です。やや難しい内容でよく確認しない方もいると思います。しかし、「支払いについて」「解約について」「事故の際の責任について」は特に注意深く確認する必要があります。
支払い方法と期日
月々の駐車場料金の支払いの多くは銀行振込です。中にはクレジットカード対応をしている場所もありますが、ほとんどは銀行振込と考えても良いです。
特に会社名義で駐車場を契約しているため、振り込み忘れなどは会社の名誉にも関わります。社会人として、会社の名誉を守るためにも振込の期日は確認し振り込み忘れがないようにしましょう。
解約条件と手数料
急すぎる解約はトラブルを招く可能性があり、受理をされない場合があります。解約方法については、賃貸借契約書に記載されている「解約予告の告知期限」部分に詳しく条件が記載されています。記載がない場合には3ヶ月前には予告しておくことをおすすめします。
責任と義務の明確化
敷地内での事故や災害時の責任は自己にあると明記されていることがほとんどです。自身に過失がない場合の責任がどちらにあるのかを確認し、納得しない点があれば契約前に問題点を解消しておくことが重要です。
リスク管理
現在は機械式駐車場などの設備を有している駐車場が多くあります。このような設備機器は異常をきたし、入出庫ができなくなる可能性があります。このような緊急事態に備えてのリスク管理をしておきましょう。
緊急時の対応策と連絡先
契約時の機械式駐車場の機械不良が起きた際の連絡先を確認しておきましょう。故障時の連絡先が貸主なのか、メーカー先なのかをはっきりしておくことでスムーズに問題を解決することができます。
契約更新と終了の手続き
契約の更新と解約にはそれぞれ決まった流れがあります。大体の駐車場は同じような流れにはなりますが、賃貸借契約書に記載されている内容に目を通し、流れを把握しておきましょう。
契約更新プロセスの理解
ほとんどの駐車場の契約更新手続きは郵送でのやり取りで行われており、契約更新月が近づいてくると、貸主より契約書が同封された手紙が送られてきます。契約書に必要事項を記入し、更新料を指定日までに振り込むことで更新手続きは完了します。<./p>
解約通知の期限
契約期間内に駐車場が閉鎖される場合があり、その際には貸主より解約通知が届きます。賃貸借契約書には「契約期間内でも解約が可能」と記載されていることがあり、加えて通知期間も定められているため契約書を確認しておきましょう。
解約通知書が届いたら解約日を確認し、解約日までに次の契約駐車場を探すこととなります。
契約終了時の手続き
契約終了時には貸主もしくは管理会社に対して解約の旨の報告を忘れずにしましょう。その後、先方より解約届けが郵送されてくるため、必要箇所を入力し返送することとなります。
解約の旨の連絡に期限を設けているところもあるため、賃貸借契約書や契約前に先方に確認をしておきましょう。
駐車場契約手続きの実務的アプローチ
社用車の駐車場として契約する際には法人契約が必要です。個人契約と法人契約では、契約手続き方法や提出書類が異なります。法人契約に必要な書類についてご紹介します。
書類の準備と提出
個人契約時と比較して法人契約では必要な書類が多くなります。スムーズに契約できるようあらかじめ必要な書類を確認しておきましょう。
必要書類の準備
法人契約時に必要な物は以下の通りです。
- ・社印
- ・登記簿謄本の写し
- ・車検証の写し
- ・運転免許証の写し
ほとんどの駐車場はこれらを用意することで契約に移れます。中には他に必要な書類を求められることがありますので、先方にあらかじめ必要書類を確認しておきましょう。
駐車場利用の管理
ルールを遵守することは当たり前ですが、社用車を駐車する際には会社の名前を背負っているため、よりルールに厳格である必要があります。
いたずら被害に遭うリスクもあるため、セキュリティ対策を講じておくことも忘れないようにしましょう。
駐車場使用のルール
ルールを設けている駐車場がほとんどですが、大体のルールは当たり前のものばかりです。気を付けることとしては、契約時に申請した社用車以外の駐車はやめましょう。もし契約車以外の車を駐車する際には管理者へ報告することをおすすめします。
駐車場でのセキュリティ管理
契約前に監視カメラの有無、定期的な巡視の有無を把握しておきましょう。自衛も重要で、社用車内に駐車時録画機能付きのドライブレコーダーを取り付けることをおすすめします。
問題発生時の対応
いたずらや事故が起きてしまった際の動きを把握しておきましょう。事故の発生状況によっては、貸主側の責任を問える場合もあるため事前に把握しておくことをおすすめします。
敷地内での事故
「敷地内で起きた事故・事件に関しては一切の責任を負いかねます」と看板などに明記されていることがあります。フェンスや柵の破損などにより車体に傷がついてしまった場合などでは貸主に責任を問える場合があります。
敷地内で事故などが起きてしまった場合には、保険会社だけではなく貸主にも相談して対応していくことが望ましいです。