社用車の駐車場移転について解説
oPPice編集部
社用車駐車場移転の計画と準備
社用車の駐車場を移転する際には、まず計画をしっかりと立てる必要があります。移転前駐車場にある問題点を払拭し解決可能な移転先を選定し、綿密に準備をして実行に移しましょう。
新しい駐車場の選定基準
移転には労力と時間、コストがかかります。それでも必要な場合には理由を明確にし、企業と従業員のニーズと条件を満たす駐車場を選定します。
アクセスの良さと立地条件の評価
使用頻度の高い社用車であれば、自社の立地場所から近い距離にある駐車場を選定することで利便性が高まり、使用する従業員の満足向上に繋がります。距離以外にも「屋根付き」「平置き」「機械式」「占有面積」など、優先する条件と照らして検討します。
安全性とセキュリティ対策の検討
街灯がなく夜間には暗くなる場所や、繁華街にあって人の出入りが多い場所に駐車場がある場合には、防犯対策として「照明」「防犯カメラ」「セキュリティアラーム」「塀や柵」があるかをチェックします。一般的に機械式駐車場は防犯に優れていると言われています。
コスト効率とレンタル料の比較
近年の車離れにより月極駐車場の空き数は増加しており、料金は低下している傾向にあります。また、一般的に屋外駐車場または機械式駐車場は比較的安い料金設定となっています。使用頻度によっては社用車を保有するとランニングコストが上がる可能性があります。そのため、レンタカーやカーシェアリングのコストとの比較検討が必要です。
移転計画の策定と実行
新しい駐車場に相応しい物件が見つかれば、早急に移転の計画を立てます。日程だけではなく、人(ヒト)・物(モノ)・金(カネ)にも注意を払う必要があります。
移転日程の決定とスケジューリング
移転前駐車場の契約状況について「契約更新日」「中途解約時の違約金」を確認し、仲介業者あるいはオーナーと交渉して契約終了日を決定します。その後、新しい駐車場について契約開始日を決定します。
社内関係者への移転計画の通知
社用車に関係する部署や従業員をリストアップして満遍なく通知します。口頭ではなく正式な社内文書を発行することで、企業としての取り組みを前面に出し一体感を醸成します。
移転作業のリソースと手順の計画
従業員は通常の業務に加えて移転作業に従事することになりますので、消極的な姿勢を見せることがあります。移転の必要性をしっかりと認知させ、不公平感を感じさせずに担当を指名することが重要です。決定した担当の役割を明確にし、作業フローを全社で共有するようにします。
契約とコスト管理の最適化
新しい駐車場の契約締結の際には、内容に十分な理解が必要です。また、移転前コストを基準にして適正なコストを導きます。
新しい駐車場の契約条件の詳細確認
新しい駐車場の契約条件には、「賃料」「敷金」「賃貸保証会社保証料」「契約期間」「禁止事項」「賠償義務」などがありますので、内容をすみずみまで確認し不明点は無くすようにします。
コスト削減のための交渉戦略
削減できるコストの有無について調査します。仲介業者を通さずに、オーナーと直接契約する場合には、仲介手数料が抑えられるため値下げできる可能性が高くなります。また、長期で借りる予定がある場合には、長期契約割引を交渉するのも一手です。
法的手続きと内部コミュニケーションの強化
駐車場の移転に伴って、法律で定められている各種の事務手続きが必要です。円滑に移転を完了させるために、社内で連携して進めていきましょう。
保管場所届出手続き
車庫などの保管場所を変更したときは、警察署長へ届けを出さなければなりません。 警察署窓口で遅滞なく手続きを行います。
車庫証明の変更手続きと必要書類
車庫証明(自動車保管場所証明書)の変更に必要な書類には、「自動車保管場所届出書」「保管場所標章交付申請書」「保管場所の所在図・配置図」「保管場所使用承諾証明書」があります。管轄する警察署か警視庁ホームページからダウンロードして準備します。
最寄りの警察署への届出プロセス
前述した必要書類を準備して所轄の警察署で手続きをします。車庫証明は代理人による申請や変更手続きが可能です。その場合でも委任状は不要ですが、書類に不備があった場合には訂正を行うことができませんので、日を改めて書類を完備し再申請を行う必要があります。
法的要件の遵守と記録保持
車庫証明の変更手続きは、「自動車の保管場所の確保等に関する法律」により期日が定められています。住所変更があった日から15日以内に行う必要があります。手続きを怠ると10万円以下の罰金が科せられますので注意が必要です。
管理会社で車庫証明を発行してくれることも
管理会社によっては、車庫証明を発行してくれることがあります。事前に、使っている駐車場の管理会社が車庫証明を発行してくれるか、費用はどのくらいかかるか、を確認しておきましょう。
社内コミュニケーションの重要性
企業で表に立って業務にあたっている部署や担当者だけではなく、全社の取り組みとして進めていくためには社内連携が必要ですから、連絡を密に取り合い情報を共有するようにします。
新しい駐車場情報の社内共有
社内で情報を浸透させる方法としては「全員が集合する機会を設ける」「一斉メールで通知」「印刷物回覧」などがあります。いずれの方法でも、正しい情報を関係各所に確実に届けることが必要です。一方通行にならないよう、確認のためにフィードバックしてもらうなどして共有します。
移転に伴う変更点の周知
新しい駐車場の情報について細かく伝達するようにします。具体的には「住所」「サイズ」「利用可能なスペースの数」「スペースの場所」「利用時間」などです。
セキュリティと安全性の確保
新しい駐車場に用意された安全対策を過信せず、積極的な自衛策について必ず実施するようにしましょう。社内ルールを策定し円滑に利用するようにします。
新駐車場のセキュリティ対策
防犯対策として「防犯装置」「ドラレコ」「リレーアタック防止ケース」「ホイールロック」「ステアリングロック」などのセキュリティ対策を講じます。駐車場に初めから用意されているセキュリティとの相乗効果で、社用車の安全を守ります。
安全な車両移動のためのガイドライン
新しい駐車場まで社用車を移動させる際には、道路交通法を遵守し安全運転を励行します。また、到着後に構内へ進入するのは初めてとなりますので、歩行者や周囲に目を配り適切な速度を保ち、標識や表示を確認して駐車させます。
駐車場利用ルールの設定と教育
新しい駐車場を安全かつ快適に利用するためには、駐車場の利用規約に加えて企業で独自の規約を策定し、従業員へ周知徹底させて運用することが必要です。
駐車場探し代行サービスの概要
新しい駐車場の探し方は幾通りかありますが、代行サービス業者も存在しています。コストと手間を考慮して賢く探しましょう。
代行サービスの基本機能
代行サービスとはどのような動きをしてくれる業者なのでしょうか。メリットやサービス範囲などを説明します。
駐車場探しのプロセス
月極駐車場を探すには以下の方法がありますので、時間や労力、コストを加味して決定しましょう。
- ・歩いて探す
自らの足で周辺を歩き、駐車場の看板や連絡先を確認する。現地の状況を直接確認できるメリットがある。 - ・不動産会社経由
不動産会社が管理している物件の情報を得ることができる。物件はすぐに提示され時間はかからないが、管理している物件に限られる。 - ・インターネット経由
駐車場検索サイトを利用することで、自社周辺の駐車場情報を簡単に探すことができる。
代行サービスの利点
代行サービスを利用するメリットは、探す労力の削減や契約に携わる時間の短縮が見込めることです。人件費のコスト削減に繋がります。
利用可能なサービス範囲
代行サービスには数多くの駐車場が登録されているため、利用可能範囲は全国にわたります。しかし、都市圏の登録数は十分にありますが、地方についての登録数には限りがあるのが現状です。ホームページ等で事前に確認することをおすすめします。
社用車に特化したサービス
企業をターゲットにした独自のサービスが存在します。問い合わせの際には社用車を駐車する旨を伝えて、サービスの有無を確認するようにします。
企業ニーズに合わせた駐車場選定
顧客が訪問の際に利用する可能性がある場合には、自社とのアクセスが良い場所を選ぶことで時間を取らせることなく、スムーズに案内ができます。BCP対応や入出庫待ちの時間を回避させるために、駐車場を分散させるのも一手です。企業ニーズを明確にして選定するようにします。
大型車両や特殊車両の駐車場探し
大型や特殊車両の駐車場を探している場合、自らの足を使っての捜索は労力と時間がかかり骨が折れるものです。インターネットでの検索は、車種や車両の大きさなどを絞り込んで探せるため便利です。
長期契約に適したオプション
契約期間が長ければ長いほど、オーナーは安定した収入を見込めるため、割引交渉がしやすくなります。長期間での契約を検討し、月額料金の割引交渉を試みることが有効です。
コストと時間の節約
希望の駐車場捜索にかかる労力や時間、コストを最小限に抑えるために、必要な知識について説明します。
駐車場探しにかかるコスト削減
従業員が自らの足を使って駐車場を探す場合には、業務時間での捜索となるために人件費が発生します。
一方で、不動産会社に依頼すると仲介料が発生します。どちらのコストパフォーマンスが優れているのか試算が必要です。
効率的な駐車場検索と契約プロセス
従業員が自らの足を使って駐車場を探す場合には、移動した地域のみで駐車場は発見可能です。
一方で、不動産会社やインターネットで検索すると、条件にマッチした駐車場を提示してくれます。
業務の効率化と時間の節約
従業員が自らの足を使って駐車場を探す場合には、良い物件に巡り会うまで時間を要する可能性があります。
一方で、不動産会社やインターネットで検索すると、条件に合う物件を選んで提示してくれるため効率的です。
駐車場移転後の運用と管理
移転が無事に終わった後の効率的な管理・運用について説明します。
法的要件の遵守
社用車駐車場の運用は、企業として法規を遵守し、従業員にも徹底させる必要があります。
法的要件の確認と遵守
移転前駐車場について、オーナーあるいは仲介業者を通じて賃貸借契約を解除します。その後に必要な書類を準備し、新しい駐車場の契約を結びます。契約解除と契約締結に空白期間が生じないよう細心の注意を払います。
特定地域の駐車規制への対応
警察庁のホームページや道路にある看板等の表示などで、駐車場周りの道路規制情報を入手し、社用車の駐車や出入りに注意すべき事項がないかを確認しておきます。情報があれば従業員に周知して回避策を練ります。
移転後の運用効率の評価
移転後駐車場の運用について効率的かどうかを定点観測し、修正が必要な時には改善を実施します。
新駐車場の運用効率のモニタリング
移転前駐車場と比較してコストはどう変化したのか、従業員へヒアリングを実施して利便性はどう変化したのか、調査時期を定めて観測します。
コストと利便性の継続的な評価
コストと利便性のモニタリングは定時定点観測を基本とし、変化点に対しては調査を実施して原因を究明します。
改善のためのフィードバック収集
コスト調査と従業員からのヒアリングを基に、自社で解決できる問題には速やかに取り組みます。駐車場のオーナーや運営会社へ連絡が必要な場合には、問題点を列記し是正してもらえるようにします。
まとめ
社用車の駐車場移転は、ただ駐車場を移動させて終わりではありません。移転先駐車場を選定し、移転計画とその準備、社内コミュニケーションを活性化させての移転作業、移転後の運用管理など、多岐かつ長期間に渡ります。
事業効率化のために駐車場を移転するケースが多いはずです。安全を重視し、労力と時間、コストを最大限削減した移転を実現させましょう。
