社用車の車庫証明手配について解説
車庫証明の基本とその必要性
車庫証明の基本と必要性を解説します。車庫証明は車の購入時に必要なので、概要や有効期間などを把握しておきましょう。
車庫証明とは何か
車庫証明は、自動車の保管場所を確保していることを証明するものです。正式名称は自動車保管場所証明書といい、車を所持するために必要な書類です。
車庫証明の法的背景
「自動車の保管場所の確保等に関する法律」では、車を購入する前にあらかじめ保管場所を確保しておくことが義務づけられています。この法律は、一般的に「車庫法」や「保管場所法」などと呼ばれています。
車庫証明書を持っていないと原則車は購入できませんが、一部地域では不要な所もあるため、確認が必要です。
車庫証明が必要とされる理由
車庫証明は、車の購入前や住所変更手続き前に必ず取得していなければなりません。車の保管場所がないと、路上に駐車してしまって人や車の通行の妨げになったり、救急車や消防車などの緊急車両が通行できなかったりします。道路交通を円滑にするためには、駐車場所を確保している必要があります。
軽自動車だと車庫証明(自動車保管場所証明書)は不要です。ただし、代わりに車庫の届出(自動車保管場所届出)が必要になるため、注意する必要があります。
車庫証明の有効期間と範囲
車庫証明書の有効期限は、発行の日から1ヶ月です。住所変更手続きは、住所変更から15日以内なため、手続き前にあらかじめ車庫証明書を取得しておくことをおすすめします。
また、車庫証明として認められるためには、駐車場が会社から直線距離2キロ以内である必要があります。車の購入前や住所変更前に、範囲内の駐車場を確保しておきましょう。
車庫証明の申請プロセス
車庫証明の申請手順を解説します。スムーズに申請するために、一連の流れを把握しておきましょう。
必要書類の一覧
車庫証明の申請に必要な書類は全部で4種類です。車庫がある土地を管轄している警察署で申請書類一式をもらえたり、警視庁のホームページからダウンロードしたりできます。書式は都道府県ごとに異なる場合があるため、注意が必要です。
名称 | 説明 |
---|---|
自動車保管場所証明申請書 | 車庫証明書を申請するために必要な書類 |
保管場所標章交付申請書 | 保管場所標章を発行するために必要な書類 |
保管場所の所在図と配置図 | 車庫の所在地や配置を伝えるために必要な書類 |
保管場所使用権原疎明書面または保管場所使用承諾証明書 | 保管場所の所有者を示すために必要な書類 自分の土地(保管場所使用権原疎明書面) 他人が所有する土地(保管場所使用承諾証明書) |
申請手続きのステップ
車庫証明を申請するために、まず必要書類を集めて記入しましょう。分からないことがあれば警察署に行って質問することがおすすめです。
記入した後、該当の警察署で申請します。車庫証明は申請から発行まで3~7日ほどかかるため、後日改めて訪問しましょう。申請の際には、2000円程度の手数料がかかるので、注意が必要です。
申請から数日後に警察署の窓口で書類を受け取ります。受け取りの際は、標章交付手数料として500円が必要なので、準備しておきましょう。
また、借りている駐車場の管理会社が車庫証明を発行してくれることもあります。費用がかかる場合がありますので、事前に発行してくれるか、費用はどのくらいかを確認しておきましょう。
申請時の注意点
申請時の注意点としては、車庫証明認証後に保管場所標章シールを車に貼らないといけなかったり、代行サービスを利用する場合は委任状も同時に提出する必要があったりします。申請する人によって提出書類が異なる場合があるため、申請内容に間違いがないかあらかじめ確認しておくことがおすすめです。
車庫証明のための駐車スペースの確保
車庫証明に必要な駐車スペースについて解説します。条件を満たしているか確認してみましょう。
駐車スペースの要件
駐車スペースのサイズについては、法律で定められていません。ただし、国土交通省の「標準駐車場条例」では、1台につき幅2.3メートル以上、奥行き5メートル以上で、自動車を安全に駐車および出入りできる場所が駐車場として認められています。
駐車場のレンタルと契約
社外に駐車場を契約する際は、月極駐車場がおすすめです。契約には運転免許証や車検証のコピーなどが必要なので、あらかじめ準備しておくとスムーズに契約できます。
自社施設内の駐車場利用
自社施設内の駐車場も車庫証明に利用できます。ただし、車庫証明で利用できる駐車場として認められるのは、本社や支店などの拠点から2キロメートル以内の場所です。拠点と駐車場が直線距離で2キロメートル以上離れていないか確認しておきましょう。
車庫証明申請のトラブルシューティング
車庫証明申請時のトラブル対処法について解説します。把握しておくと、ストレスを感じずに車庫証明の申請ができるでしょう。
一般的な問題とその解決策
車庫証明に関する一般的な問題とその解決策を解説します。確認しておきましょう。
書類の不備や遅延
必要書類や記入漏れがあったり、提出の期限が遅れていたりすると、申請が通らない場合があります。あらかじめ確認しておいて、分からなければ警察署に行って確認しましょう。
駐車場の確保の難しさ
申請後に警察署が調査を行い、会社から2キロ以上離れていたり、駐車に充分なスペースがなかったりすると、申請が通らない場合があります。車の保管場所が車庫証明の条件をクリアしているか事前に自分でも確認しておくと、問題が起きる可能性は低いです。
法規制の変更への対応
車庫法や標準駐車場条例などの、車の駐車に関する法律が変わる場合もあります。法律の改正によって、有効期間や期限が変更される可能性があるため、数ヶ月に1度は確認しておきましょう。
複数車両と大型車の車庫証明
複数車両と大型車の車庫証明について解説します。車の大きさによって車庫証明できる駐車場の条件も異なるため、注意が必要です。
複数車両の場合の対応
複数の車を保管するには、台数に応じた広さの保管場所を準備する必要があります。10台の社用車を所有したいのであれば、10台分の駐車場を確保しなければなりません。保管したい台数分の広さを確保しているかあらかじめ確認しておきましょう。
大型車や特殊車両の対応
キャンピングカーやボートトレーラーなどの、一般的な駐車場に停めにくい特殊車両は、特定の条件を満たしていれば、会社から2キロ以上離れていても車庫証明の取得が可能です。ただし、提出書類によっては申請が通らない場合があるため、特殊車両を購入する際は、警察署や車の購入場所で必要な書類を確認しておきましょう。
法人名義の車両の特別な要件
運送業や配達業など、事業用の車を登録する場合は車庫証明が不要です。事業用登録は運送事業者の許可を得た法人のみで、個人では登録できません。
事業用登録の際は、車庫証明の代わりに事業用自動車等連絡書の提出が必要で、申請が通ると、ナンバープレートが緑色になります。
納車前の車庫証明の準備
納車前の事前準備について解説します。購入前に確認しておきましょう。
納車時期と車庫証明のタイミング
納車時期は、新車であれば3ヶ月ほど、中古車であれば2週間ほどです。納車時期から逆算して、納車前に車庫証明書を準備しておくと、スムーズに契約が進みます。
新車については、最近の半導体不足の影響を受けて、納期が長くなることもあるため、注意が必要です。
予備の駐車スペースの確保
会社の駐車スペースが、所有台数ギリギリであれば、取引先の車が止められない場合があります。あらかじめ予備の駐車スペースを確保して申請しておくことがおすすめです。
納車遅延への対応策
車の購入では、販売店が繁忙期だったり、購入車の整備や補修に時間がかかったりなどが原因で、納車が遅れる場合があります。納車遅延があることをあらかじめ把握しておきましょう。
あまりにも長い期間遅れるようであれば、キャンセルも検討してみることをおすすめします。ただし、契約成立後はキャンセル料がかかる場合があるため、納期についてあらかじめ販売店に確認しておくことが大切です。
車庫証明手続きの効率化とデジタル化
車庫証明手続きの効率化やデジタル化について解説します。活用できればより短時間で申請が完了するので、実践してみましょう。
オンラインでの車庫証明手続き
以前の車庫証明手続きは、警察署に直接必要書類を提出しに行かなければなりませんでした。しかし最近では、オンラインでも手続きが可能になってきており、自分で警察署に行かなくても良くなってきています。自宅でもできるオンラインサービスの詳細を解説します。
デジタル申請のプロセス
自動車関係のデジタル申請で利用するシステムの名称は、「ワンストップサービス(OSS)」です。警察署や運輸局などの複数の期間を仲介しており、一括申請ができるサービスです。
ただし、OSSを利用するためには、Windowsパソコンが必要であったり、手数料を支払ったりする必要があります。
オンラインサービスの利用方法
オンライン申請をする際には「OSS」を活用します。OSSのシステム内で必要書類やマイナンバーカードを提出するための項目があるので、申請前にスキャナーやICカードリーダーで情報を電子データ化しておきましょう。
また、マイナンバーカードや印鑑証明書などを活用した代理申請も可能です。委任状や各種書類を準備して手続きを進めましょう。
電子証明書の活用と保存
マイナンバーカードなどの電子証明書は、車庫証明の発行に必要です。あらかじめ取得して保存しておきましょう。電子証明書の有効期間は4〜5年なので、期限がいつまでか確認しておくことをおすすめします。
代行サービスの利用
車庫証明書申請にはオンラインサービスだけでなく、代行サービスもあります。日中に警察署にいけない方におすすめの方法です。
車庫証明の代行サービス選定
車庫証明の代理申請を依頼できるのは、行政書士や販売店などです。住所変更や車を別の拠点に移す際には、行政書士に依頼しましょう。
新規で車を購入した際は、販売店が代行してくれる場合もあるため、状況に合わせて代行サービスの依頼先を選択することが大切です。
代行サービスのコストとメリット
代行サービスを依頼すると追加で5,000円〜30,000円程度の費用がかかります。しかし、代行サービスには、車庫証明にかかる時間を節約できるという大きなメリットがあります。できるだけ時間を使わずに手続きを済ませたい方は、代行サービスの利用を検討してみましょう。
代行サービス利用時の注意点
代行サービスの料金やプランは、代行業者によって異なるため、注意が必要です。また、ディーラーや中古車販売店で車を購入した際に、車の購入金額に車庫証明の申請代行費用が既に含まれている場合もあります。購入や申請の際に入念な確認をしておきましょう。
車庫証明手続きの効率化のヒント
車庫証明の手続きをスムーズに進めるためにはどうすれば良いか解説します。だれでもできるので、参考にしてみましょう。
手続きプロセスの標準化
手続きを効率よく行うためには、販売店や警察署で指示された手順通りに進めることが大切です。販売店や警察署には、車庫証明申請の手続きプロセスがすでにあり、その手順を教えてくれます。分からない箇所は遠慮せずに質問しましょう。
内部のコミュニケーションと協力
手続きについて分からないことがあれば、販売店や警察署で質問して確認することが大切です。必要書類の種類や記入など、自分だけでは分からないことが多くあります。書類準備に自信のない方は、あらかじめ詳しく確認しておいて、販売店や警察署に訪問した際に再度確認しましょう。
頻繁な更新のためのシステム
社用車であれば、車庫を移動させる機会が少なく、車庫証明は頻繁に更新しない場合がほとんどです。ただし、引っ越しや住所変更などで、車庫証明を頻繁に更新しなければならない可能性がある方もいます。そういったケースで利用できるシステムがあるか確認しておくと、次回の車庫証明申請の際により効率化できるでしょう。