法人用のETCカードとは?メリットや発行方法について解説
法人用ETCカードとは?
法人用ETCカードとはどのようなものなのか、個人用カードとはどのような違いがあるのかについて説明します。
法人用ETCカードの概要
ETCカードは、高速道路や一部有料道路の料金支払いをスムーズに行うために利用されています。一般的なETCカードが個人名義であるのに対し、法人用ETCカードは法人名義または個人事業主名義で契約されたものを指します。業務用の走行と私用の走行を明確に区別できるため、非常に便利なツールとして普及しています。
法人ETCカードと個人ETCカードとの違い
法人用ETCカードと個人用ETCカードは、基本的な機能や使用方法はほぼ同一ですが、いくつかの違いが存在します。 法人用ETCカードは経費精算を簡略化し、一般のETCに比べポイントが多く付与され、より高い割引率が適用されるという大きな利点があります。そのため、有料道路の利用頻度が高い法人や個人事業主にとっては、法人用ETCカードを選択することで、経費削減につながる可能性が高いでしょう。 法人用ETCのメリットについては、次章でもう少し詳しく解説していきます。
法人用ETCカードを作るメリット
法人用ETCは、業務効率化を図ることができ、通行料金の割引やポイント付与で経費削減にもつながります。それぞれを詳細に説明します。
業務効率化が図れる
法人用ETCカードを導入することは、業務効率の向上に大いに寄与します。 個人用のETCカードを使用した経費精算は煩雑な処理を伴いがちです。一方、法人用ETCカードを導入すれば、高速道路料金の支払いを一本化でき、書類作成のミスや手間を大幅に削減できます。従業員は会社から受け取ったETCカードを車載器に挿入するだけで、通行料金が自動的に決済されるため、現金の仮払いや立て替えといった面倒な手続きが不要になります。 また、法人でETCカードを作れば、必要に応じて親カード1枚に対して子カードを複数枚追加することが可能な場合があります。カードの種類によって仕組みが異なるため、運営会社への確認が必要です。
さらに、Web経由で簡単に利用照会サービスを利用でき、利用証明書や明細の保存、印刷が可能です。これにより、高速道路料金などの経費を詳細に把握し適切に処理することができ、管理業務がより円滑になります。
経費削減につながる
法人用ETCカードの利用で、経費削減につながるポイントを獲得できるメリットも見逃せません。 法人向けクレジットカードに付帯するETCカードを利用すると、ETCカードの利用分に応じてクレジットカードのポイントやマイルが貯まります。個人利用に比べて利用金額がはるかに大きくなるため、獲得できるポイントやマイルも比例して多くなり大変お得です。平均して0.3〜1.0%のポイントやマイルが付与されるため、長期的に見ると無視できない額になるでしょう。
また、ETCカードには「ETCマイレージサービス」という独自のポイント制度も存在します。このサービスに登録することで、ETCカードの利用額に応じてポイントが貯まり、それを通行料金に充てることができます。ほとんどのETCカードがこのマイレージサービスに対応しているため、多くの利用者がこのサービスを受けることが可能です。
通行料金の割引が受けられる
法人用ETCカードのメリットには、通行料金の割引もあります。 平日の朝夕に適用される「平日朝夕割引」や、土日祝日に利用できる「休日割引」、そして毎日深夜0時から4時までに適用される「深夜割引」などです。これらの割引を受けるためには、特定の車種であることや事前登録が必要な場合もありますので、事前の確認が重要です。 また、「ETCコーポレートカード」という法人向けETCカードのタイプでは、利用頻度や時間帯に応じて割引率が最大50%に達することもあります。 個人用のETCカードの割引率は発行元には関係なく一律ですが、法人用の場合にはより大きな割引が受けられる可能性があります。個人用ETCカードを仕事に流用するよりも、法人用ETCカードを利用した方が経済的利点となりますので、導入を検討してみてはいかがでしょうか。
法人用ETCカードの種類
法人用ETCカードは「法人ETCカード」「法人向けクレジットカード付帯のETCカード」「ETCコーポレートカード」の3種類あります。それぞれの特徴を説明します。 また、現在は発行できなくなってしまった「ETC一体型カード」についても廃止された理由とともに説明します。
法人ETCカード
法人ETCカードは、ETC協同組合や高速道路協同組合を通じて申し込みおよび発行が可能な、クレジットカード機能が付帯していないカードです。そのため、クレジット機能の審査に時間をかける必要がなく、新設法人や開業間もない個人事業主でも迅速にカードを手に入れることが可能です。 法人ETCカードの発行には、組合独自の審査をクリアすることが必要ですが、柔軟な審査基準により多くの利用者を受け入れています。 発行の際には組合への出資金が必要ですが、脱退時にはこの出資金は返金されます。そして、発行手数料や年会費に加えて、カードの利用に応じた事務手数料として毎月の走行金額の8%が課されます。
料金の支払いは、請求書発行後に口座振替で行われるため支払いの手間が省けます。さらに、ETCマイレージサービスを利用できるため、走行距離に応じたポイントを貯めることも可能です。 発行枚数は最大4枚までとされていますが、レンタカーやカーシェア車両にも使用できるため、小規模な法人や個人事業主にとって非常に便利なカードといえるでしょう。
法人向けクレジットカード付帯のETCカード
法人クレジットカードに付帯するETCカードは、カード会社への申し込みが基本です。そして発行にはクレジットカードと同様に審査があります。 発行可能なETCカードの枚数はカード会社によって異なり、1枚の法人カードにつきETCカードを1枚だけ発行できるものと、複数枚発行できるものがあります。従業員にもETCカードを配布し効率的に管理するためには、複数枚発行できるタイプを選ぶとよいでしょう。 クレジットカードとETCマイレージサービスによる双方のポイントが還元され、経費削減にもつながります。
ETCコーポレートカード
ETCコーポレートカードは、東日本高速道路株式会社、中日本高速道路株式会社、および西日本高速道路会社が法人向けに発行するカードです。 クレジットカードの機能はありませんが、大口・多頻度利用の企業にとって魅力的な割引制度が用意されています。このカードの最大の特徴は、利用頻度に応じて割引率が上がる「大口・多頻度割引」です。運送業など、高速道路を頻繁に利用する企業にとっては、大きなコスト削減につながるでしょう。ただし、ETCマイレージサービスへの登録はできません。これは、すでに大口割引が適用されているためです。そして、カードは記載された車両でのみ使用可能で、車両番号やカード番号、車載器管理番号が一致しなければなりません。
支払いに関しては、銀行などの保証書提出か保証金の預託が必要です。利用料金は毎月請求書が発行され、口座振替で決済されます。カード発行時の手数料や取扱手数料などコストがかかる点は注意が必要でしょう。
ETC一体型カード
かつて、クレジットカードとETCカード機能が1枚で完結するETC一体型カードがあり、1枚にまとめられることで人気を集めていましたが、2018年6月1日に施行された「改正割賦販売法」によって廃止となりました。
廃止の理由は、まず不正利用のリスクが高いからです。ETCカードを車載機に挿入したまま車を離れると盗難の危険があり、様々な場面で悪用される恐れがありました。つぎに、カードの挿入忘れによる問題です。ショッピングで車載機から取り出したカードを、挿入し忘れて料金所を通過しトラブルの発生がありました。さいごに、熱によるカード劣化です。特に夏場の高温下でETCカードを車載機に入れたままにしておくと、カードが劣化し、店舗での利用時に読み取り不良が起こることがありました。 そのようにして、現在ではクレジットカードとETCカードは分離され、複数枚の発行にも対応できるようになったのです。
クレジットカード付帯の法人用ETCカードを選ぶポイント
クレジットカード付帯の法人用ETCカードを選ぶ際に注目するポイントについて説明します。
カード発行のコストの有無で選ぶ
クレジットカード付帯のETCカードを発行する際にはコストがかかる場合があります。
発行手数料
ETCカードの新規発行時に数百円程度の手数料がかかることがあります。
年会費
クレジットカードの年会費に含まれている場合が多いが、別途ETCカードの年会費がかかる場合や条件付きで無料になるケースもあります。
再発行手数料
ETCカードを紛失した場合やカードが破損した場合、再発行する際に手数料がかかることがあります。
具体的なコストは各カード会社の公式情報を参照してください。
カードの特徴で選ぶ
クレジットカード付帯のETCカードは多くの会社から発行されていますが、それぞれ独自の特徴を打ち出して差別化を図っています。 たとえば、買い物や給油時のポイントや航空会社を利用した時のマイルなど、特定のサービス向けに還元率をあげることで利用者の囲い込みをはかっています。検討時には最新情報を確認し、最適な一枚を選びましょう。
おすすめの法人用ETCカード
さいごにおすすめの法人カードを3つご紹介します。最新の情報については直接お問い合わせください。
JCB法人カード
特徴
ETCカードを複数枚無料で発行できます。請求書支払いサービスにより、カード決済非対応の取引先への支払いも可能です。また、専用のサイバーセキュリティデスクが無料でサポートし、最大100万円のサイバーリスク保険が付帯します。そして、多くの会計ソフトと連携でき、カードの利用明細データはクラウド会計ソフトに取り込めるため、経理業務の効率化にも役立ちます。
年会費
JCB一般法人カード:初年度無料、2年目以降1,375円。
JCBゴールド法人カード:初年度無料、2年目以降11,000円。
JCBプラチナ法人カード:33,000円。
URL
https://www.jcb.co.jp/promotion/ordercard/corp/ippan-h/三井住友カード ビジネスオーナーズ
特徴
1枚のクレジットカードに対してETCカード1枚の発行となります。「請求書支払い代行サービス」を提供しているため、カード決済非対応の取引先への支払いも可能です。ナンバーレスカードで、カード番号はアプリで管理されるため、セキュリティ面も安心。また、24時間監視システムなどセキュリティ性能が充実しており、不正利用時には届出日から60日前までの損害を補償する会員保障制度があります(一部例外あり)。さらに、最高2,000万円の海外旅行傷害保険が付帯しており、多様な面で安全性と利便性を兼ね備えています。
年会費
ビジネスオーナーズカード:永年無料。
ビジネスオーナーズゴールドカード:5,550円。
年間利用額額が100万円を超えると翌年以降、永年無料。
URL
https://www.smbc-card.com/camp/biz_owners_lineup/listing_index.htmlセゾンコバルト・ビジネス・アメリカン・エキスプレス・カード
特徴
1枚のクレジットカードで最大5枚まで無料でETCカードを発行できます。ビジネス向けの特典が充実しており、永久不滅ポイントがお得に貯まり、マイルへの交換率も高いため、効率的に貯めることができます。また、JR東海エクスプレス予約サービス(プラスEX会員)を利用することで、1年中同じ会員価格で東海道・山陽・九州新幹線に乗車可能という特典があります。さらに、申し込み時に登記簿謄本や決算書が不要なため、手続きが簡単です。
年会費
永年無料。
URL
https://www.saisoncard.co.jp/amex/cobalt/まとめ
法人用ETCカードについて解説してきました。高速道路料金の支払いや事務処理を効率化し、ポイントや割引による経費削減も期待できる魅力的なツールです。企業のニーズに合わせて最適なカードを選択することで、業務効率の向上とコスト削減を実現できるでしょう。ぜひ導入を検討してみてください。