社用車のコスト見直しについて解説
社用車のコスト見直しの重要性
社用車は、購入から廃車まで保有をしている期間にさまざまなコストがかかります。しかし、その全てが本当に必要なコストとは限らず、削減が可能なものもあります。この記事では、見直しできるポイントについて説明していきます。
コスト見直しの必要性とメリット
限りある経営資金を最大限に活かすためには、社用車のコスト精査が必要です。
コスト削減の機会の特定
コスト削減のタイミングは一つではありませんが、買い替え時は大きなチャンスになります。削減可能な選択肢として、「中古車」「軽自動車」「エコカー」「カーリース」「カーシェアリング」など新車購入以外を検討することが挙げられます。
長期的な経済効率の向上
「カーリース」を利用する場合、車両価格から残価を差し引いた価格を、契約月数で割って支払います。全額経費計上が可能となり、節税効果もあります。また、利用頻度が少ない場合には「カーシェアリング」を利用する選択肢もあります。「利用時間料金」「利用走行料金」「入会時の登録手数料」「月額基本料金」が必要になる場合はありますが、それでも大きくコストを削減できます。
予算配分と資源最適化
社用車の使用状況を確認し、保有台数が適正なのかを見極め、限られた経営資源を有効的に使用するようにします。
車両購入またはリースコストの見直し
社用車は、購入またはリースで手に入れることができます。それぞれについてコスト見直しのポイントがあります。
購入価格やリース料金の再交渉
購入の場合には「値引き金額の明確化」「オプション購入してトータル値引き」「即決アピール」「ボーナスや決算のセール時期を狙う」などで値引き交渉をしましょう。リースの場合には「残価設定の見直し」「契約期間長期化」が有効です。
購入とリースのコスト比較
総支払額はリースより購入のほうが安くなります。購入のメリットは「カスタマイズが自由」「走行距離を気にしなくていい」「汚れや傷を気にしなくていい」「車を返還する必要がない」などです。一方、リースのメリットは「月々の支払額が一定」「新車に乗ることができる」「色やカスタマイズを選ぶことができる」「頭金が不要」などです。
低コストまたは中古車両の利用検討
軽自動車は普通車に比べて本体価格が安く、さらに「自動車税」「自賠責保険料」「任意自動車保険料」「車検費用」など維持費も安いため、低コストで運用・維持することができます。
もう一つの選択肢として、中古車を購入する手もあります。新車に比べて本体価格が安く、短期に経費化できることから節税効果もあります。具体的には「4年落ちの中古車」であれば1年で購入費用を経費計上することができます。
燃料コストの削減
昨今の燃料費上昇は悩ましいものです。できる限り削減して資金を圧迫しないようにすることが大事です。
燃料消費効率の高い車両への移行
ガソリン車に比べて燃費効率の良い、ハイブリッド車やEV車などのエコカーを購入することで燃料費は削減できます。また、「自動車重量税」「自動車取得税」が減税または免税になりますので、税金の面でも経費削減が見込めます。
燃料カードや割引プログラムの利用
ガソリンスタンドによってはお得に給油できるキャンペーンを実施しています。お店独自のカードやスマホアプリ、クーポンで割引を受けることで、コスト削減に繋げることができます。
ルート最適化による燃料消費の削減
目的地までの最短かつ最速な経路を特定し、運転者がその通りに移動することで、効率的に到着できるようになります。長時間運転を防止して運転者の労働意欲に繋げれば、より高い生産性からの収益増加も見込めます。
運用コストの効率化
社用車を保有している限り、コストはかかり続けます。コストを最適化し必要な部分にだけ支出するようにしましょう。
保守・メンテナンスコストの見直し
自動車は時間の経過とともに消耗しますので、定期的なメンテナンスは必須です。コストをどのように見直せばいいのか説明します。
定期メンテナンスのスケジュール調整
車点検は、専門業者に依頼する事が多いものです。2年ごとに実施する車検は、満了日のひと月前から受けることができます。1年ごとに実施する法定点検(定期点検)は、期限が設けられていません。それぞれ、支払いの多い月を避けて前後に分散させることができます。
コスト効率の良いサービスプロバイダーの選定
車点検は「ディーラー」「ガソリンスタンド」「車検専門店」「整備工場」「自動車用品店」などで受けることができます。それぞれのコストを比較してコストパフォーマンスの良い店を選択することで、支出を減らすことが出来ます。
修理よりも予防保守に重点を置く
自動車の予防整備は、コンディションを維持して大きな故障を防ぐために重要です。それにより、事故も未然に防ぐことができます。壊れてから慌てて修理に出すのではなく、予防に重点をおきます。
保険料の最適化
任意保険は万が一に備えて必ず契約しておくべきですが、見直しポイントは数多くあります。
保険料の見直しと再交渉
毎年更新の度に内容を見直すようにします。必要な補償と不要な補償を振り分け、必要な部分にのみコストを投入します。
複数の保険会社の見積もり比較
保険会社によってプランに強み弱みがありますので、同じ条件であっても保険料に差が出ることはしばしばあります。そのため、複数社の見積もりを取って比較することをおすすめします。インターネットであれば、簡単に相見積りができて便利です。
自己負担額(ディダクティブル)の調整
自己負担額(ディダクティブル)とは、保険金を支払う事故が発生した場合に、いくらかを自己で負担する設定にしておくことです。自己負担額を設定することで、保険料を抑えることが可能になります。
税金、登録料、その他の公的費用
社用車を保有することで支払いが発生する税金や登録料、その他の公的費用について説明します。
自動車税や車両登録料の確認
「自動車税」や「車両登録料」は、自動車を購入し保有していればかかる費用です。データ化し一元管理することで、過去に遡って閲覧することが可能になります。
税務上の控除可能なコストの最適化
自動車に関する税金にはいくつか種類がありますが、排出ガス性能や燃費性能により優遇される可能性があります。
1. グリーン化特例
排出ガス性能や燃費性能に優れている自動車を購入した際に、翌年度の自動車税または軽自動車税が軽減される制度。
2. エコカー減税
排出ガス性能や燃費性能に優れている自動車を対象に、性能によって自動車重量税が免税または減税となる制度。
3. 税環境性能割
車の燃費性能などに応じて税率が設定される。自家用乗用車の場合は0%(非課税)〜3%の割合。
4. 障害者の割引
一部の自治体では障害者の方が使用する自動車に関して環境性能割、自動車税に対する減税制度を導入。
追加コストの管理と削減
社用車を保有している期間に、かかる可能性があるコストについて説明します。
駐車場料金の管理
自社で駐車場を保有していない場合には、定期的に駐車場料金の支払いが必要になります。
駐車場料金の再交渉や割引サービスの活用
駐車場の契約更新時期は料金再交渉のチャンスです。空きが多い利用状況であったり、市場状況の変化で地価が下がったりしていれば、絶好の交渉材料になります。
運営会社が大手の場合には、期間限定キャンペーンや会員優待、ポイントサービスなどがある可能性があります。
安価な駐車オプションの検討
以下のような条件の駐車場であれば、料金を抑えることができる可能性があります。
- ・仲介業者を通さない
- ・塗装されていない
- ・空きが多く人気がない
- ・車が停めにくい位置にある
- ・機械式の立体駐車場
減価償却費の効率化
減価償却とは、設備投資などの費用を一定期間に配分する会計処理のことです。方法により節税が可能となります。
車両の耐用年数と償却方法の見直し
自動車の耐用年数とは、実際に乗ることができる期間ではなく税務上の既年数となり、新車の場合には普通車で6年、軽自動車で4年となります。
減価償却の計算方法には、定額法と定率法の2種類があります。定額法とは、毎年同額の減価償却費を計上する方法です。一方、定率法とは、毎年一定の割合で減価償却費が少なくなるように計算する方法です。
税務効果を考慮した償却計画の調整
できるだけ耐用年数が短く、そして売却時に値崩れしにくい人気のある車や流行の車、ファンの多い車を選ぶことで節税となります。2年間で減価償却できる4年落ちの中古車を購入する場合に、最も効果が高くなります。
事故や違反に関連するコストの管理
運転者に安全運転を徹底させて、事故や違反を減らすことでコスト削減に繋がります。
事故発生率の低減策
事故の多くは故障が原因で起こっています。事故の発生を減らすには、車両のメンテナンスを徹底し、故障を未然に防ぐことが大事です。
また、運転者には定期的に運転教育を実施して安全への意識付けを図り、過失による事故をなくします。
安全運転プログラムの導入
安全運転プログラムには、以下のように対面とWEBのタイプがあります。 対面形式では「運転適性検査」「講義」「実技」などを実施し、WEB形式では「動画講座」「危険予測トレーニング」「テスト」などが行われます。
また、車体に加速度センサーを取り付け、運転行動データを分析して診断を行うスマホアプリもあります。
テクノロジーを活用したコスト管理
コストのデータは、Excelなどに入力して管理できますが、テクノロジーを活用するほうが効率的で正確性に優れています。
テレマティクスと車両管理システム
テレマティクスとは、車両に搭載された通信システムを利用してネットワークに接続し、遠隔にある情報のやり取りを可能にするサービスの総称です。
車両追跡と運用データの分析
テレマティクスでは、車両の位置情報や走行状況をリアルタイムに把握することができます。取得したデータを分析し、リスクをあぶり出すことが可能です。安全運転指導にも活用でき、事故防止に役立ちます。また、運転情報のデータを保険会社が取得し、運転者の事故リスクを分析して保険料を算定する、テレマティクス保険も存在しています。
運用効率の向上と無駄の削減
テレマティクスで取得したデータを活用して、「燃費向上」「ルート最適化」「車両状態確認と整備時期予測」「データ管理の自動化」を実現し、業務効率化に役立たせることができます。
データ駆動型コスト管理
データ駆動型とは、データを活用して意思を決定したり課題を解決したりする方法のことで、コスト管理の効率を高めることができます。
ビッグデータの活用とコスト分析
多種多様なデータを大量に蓄積したものをビッグデータと呼びます。それらを活用し、道路上の危険箇所を特定し安全対策を打つことで、事故を削減することができます。事故の絶対数が減少すれば、自動車保険料も自ずと値下げされます。
リアルタイム追跡と最適化
社用車の位置情報を追跡して、適切な巡回ルートの指導を行うことが可能です。最短ルートを走行することにより燃費消費を抑えることができます。また、盗難にあった場合にも位置情報から車両場所の特定が可能になります。
まとめ
この記事では、社用車のコスト削減について説明してきました。会社の利益は売上拡大と経費削減の両輪から生まれます。社用車は自社の売上拡大に貢献する優秀なツールですから、しっかりと管理してコスト削減に繋げ、会社の未来を明るくしていきましょう。