ながら運転に該当する行為や罰則について解説

「ながら運転」とは
ながら運転とは、自動車の運転中にスマートフォンやカーナビなどの画面を注視したり操作したりする行為を指します。スマートフォンを操作したり、カーナビに目を向けながら運転することは、重大な交通事故を引き起こす危険な行為です。ここでは、「ながら運転」に該当する具体的な行為について説明します。
「ながら運転」に該当する行為
「ながら運転」に該当する行為には、スマートフォンを持って通話することやスマートフォンの画面を注視すること、カーナビの画面を注視することが含まれます。それぞれについて具体的に説明します。
スマートフォンを持って通話する
運転中にスマートフォンを手で持って通話することは、道路交通法で禁止されている行為です。なぜなら、通話に気を取られ、道路状況や周囲の車両、歩行者などに注意を払うことが難しくなるからです。
また、スマートフォンを手で持つことで、ハンドル操作が片方の手だけで行われることになり、車の制御が困難になります。こうした理由から、スマートフォンを持って通話する行為は、事故のリスクを高めるのです。
ハンズフリー通話については違反にはなりませんが注意が必要です。このあとの章で詳しく説明します。
スマートフォンの画面を注視する
運転中にスマートフォンの画面を注視することは道路から目を離す原因となり、運転に必要な注意力が散漫になります。
たとえば、「メールやLINEのメッセージを読む」「地図アプリを操作する」「SNSをチェックする」など、スマートフォンの画面を注視する行為は、すべて「ながら運転」に該当します。実際、スマートフォンの画面を注視する行為は、運転中に起こる事故の主要な原因のひとつです。
カーナビの画面を注視する
カーナビは目的地までのルートを案内するための装置ですが、その画面を注視することは非常に危険な行為です。
たとえば、カーナビの画面を長時間注視して、ルートを確認したりカーナビの設定を変更したりすること、カーナビの画面を操作したりテレビやDVDを鑑賞したりすることなど、カーナビの画面を注視する行為は、すべて「ながら運転」に該当します。
こうした行為は、道路交通法で禁止されています。特に、高速道路や山道など、運転に高度な注意力が必要な場所でカーナビの画面を注視すると、大事故につながる危険性を高めます。
こんな行為は「ながら運転」に該当する?
運転中の行為として、食事やハンズフリーでの通話、信号待ちでのスマホ操作は「ながら運転」に該当するのでしょうか。一つずつ説明していきます。
運転中の食事
運転中の食事について、道路交通法に明確な記述はありませんが、安全運転の義務を怠る行為として、違反になる可能性があります。
道路交通法第七十条では、車両の運転者は、ハンドル、ブレーキその他の装置を確実に操作し、道路、交通、車両の状況に応じ、他人に危害を及ぼさないような速度と方法で運転しなければならないと定めているからです。
食事をしながら運転することは、ハンドル操作を片手だけに頼ることになります。それでは、精度が落ちてしまううえに、食べ物に気を取られることで、なおさら運転ミスを助長します。車を停止してから食事をするようにすることが、安全運転のためには重要です。
ハンズフリーでの通話
ハンズフリー通話とは、スマートフォンを手で持たずに通話を行う方法を指します。道路交通法第七十一条五の五項によると、スマートフォンの使用について「その全部又は一部を手で保持しなければ送信及び受信のいずれをも行うことができないものに限る」と記されています。このことから、運転中でも手で持たずに通話が可能であれば、法に触れる行為にはならないといえます。
しかしながら、ハンズフリー通話は運転中の集中力を低下させ、事故を引き起こす可能性が多いにあります。海外に目を向けると、イギリスやオーストラリアなどでは、「ながら運転」は非常に危険な行為であるとの認識が広まっており、日本よりも厳格な規制が設けられています。
たとえば神奈川県の条例では、「大音量で、またはイヤホンもしくはヘッドホンを使用して音楽を聴くなど安全な運転に必要な音または声が聞こえない状態で自動車、原動機付自転車または自転車を運転してはいけない。」と定めています。つまり、緊急車両のサイレンや他の車のクラクションなどが聞こえないような、安全とはいえない状態での運転は条例違反となるのです。
ハンズフリー通話であったとしても、周囲の音が聞こえないような大きさでは、危険な上に安全に運転ができない状態のため条例違反になる可能性があります。
信号待ちでのスマホ操作
道路交通法第七十一条五の五項では、「自動車等が停止しているときを除き」と明記されています。したがって、信号待ちなどの一時停止中は、スマートフォンの操作が可能です。
しかし、停止中だからといって安易な操作は避けたほうが賢明でしょう。青信号の見落としによる発進の遅れは、後続車に迷惑をかけることになります。また、スマートフォンに意識を奪われることで、周囲への注意力が著しく低下します。
たとえば、停止中に子どもが急に車の前を横切ったり、自転車が接近したりする可能性がありますが、そのような状況に気づけない危険性が高まるのです。
そして、停止前からの操作や発進後の操作は明確な違反となります。法的な可否だけでなく、安全性の観点から判断することが大切です。
現代社会において、スマートフォンは必需品となっていますが、込み入った用件は安全な場所に停車してから対応するなど、信号待ちでの使用は必要最小限に抑えることが望ましいでしょう。
「ながら運転」の厳罰化
2019年12月、道路交通法の改正により「ながら運転」への罰則が大幅に強化されました。このように厳罰化された背景には、スマートフォンの普及に伴う重大事故の増加があります。ここでは、「保持」と「交通の危険」、2つの違反について説明します。
携帯電話等使用等(保持)違反
携帯電話等使用等(保持)違反には、運転中にスマートフォンやスマートフォンを手に持って通話したり、画面を注視したりする行為が該当します。カーナビの操作やドライブレコーダーの操作も、違反となる可能性があります。
改正前
違反した場合の罰則は、5万円以下の罰金及び違反点数の加算でした。普通車の場合、反則金は6,000円、違反点数は1点です。
改正後
改正後には罰則が6か月以下の懲役または10万円以下の罰金へと厳罰化されました。また、反則金も普通車の場合18,000円に引き上げられ、違反点数も3点に強化されています。
携帯電話等使用等(交通の危険)違反
携帯電話等使用等(交通の危険)違反には、運転中にスマートフォンを使用したり、画面を注視したりすることで、実際に交通の危険を生じさせる行為が該当します。
具体的には、メールの確認やSNSの操作をしながら運転して車線をはみ出す、動画を見ながら運転して急ブレーキをかけるなど、実際に危険な状態を引き起こした場合が対象となります。
一方、単にスマートフォンを手に持って使用する「スマートフォン等使用等(保持)違反」とは区別されており、より悪質な違反として扱われます。
改正前
3か月以下の懲役または5万円以下の罰金、反則金9,000円(普通車)、違反点数2点でした。
改正後
改正後は1年以下の懲役または30万円以下の罰金へと引き上げられ、違反点数も6点となりました。違反点数6点とは、運転免許の停止処分を受ける点数です。
「ながら運転」を防止するためには
「ながら運転」を防止するためには、スマートフォンの電源を切るかドライブモードにしましょう。また、ドライブレコーダーを導入するのも効果的です。さらに社内で「ながら運転」に関する研修を実施することも重要です。一つずつ説明していきます。
スマートフォンの電源を切る・ドライブモードにする
「ながら運転」を防止するためには、運転開始前にスマートフォンの電源を完全にオフにするとよいでしょう。しかし、仕事や緊急連絡の必要性から、完全な電源オフが難しい場合もあるかもしれません。
その場合には、スマートフォンに搭載されているドライブモードの活用がおすすめです。ドライブモードを設定すれば、着信音や通知音が鳴らず、気が散ることなく運転に集中できます。
車内でのスマートフォンの保管場所も重要です。手の届く場所に置いていると、つい確認したくなる誘惑に駆られがちです。そのため、バッグの中や後部座席など、運転席からは手の届かない場所に収納することが賢明でしょう。
ドライブレコーダーを導入する
「ながら運転」による事故が社会問題となっているなか、AI搭載ドライブレコーダーが新たな安全対策として注目を集めています。
従来のドライブレコーダーは、事故映像の記録が主な役割でした。AI技術の進化により最新のAI搭載のドライブレコーダーは、搭載されたカメラがドライバーの顔の向きや目線の動きを常時モニタリングしています。スマートフォンを見るためにわずかに視線を下げたり、車外に気を取られて脇見をしたりする動作を、AIが瞬時に検知するのです。
危険な運転姿勢を感知すると、警告音やアラートで注意を促してくれます。たとえば、長時間にわたって前方から目線をそらしている場合や、頭が大きく傾いている状態を検知すると警告を発します。これにより、ドライバー自身が無意識のうちにしてしまう危険な行為に気付くことができるでしょう。
さらに、運転データは記録として残るため、自身の運転の振り返りにも活用できます。月単位や週単位での運転傾向を分析し、安全運転への意識向上にもつなげられます。
運転の「見える化」により、具体的な改善ポイントが明確になり、事故リスクの低減に寄与するでしょう。
「ながら運転」についての研修を行う
企業による「ながら運転防止研修」は効果的な対策となります。実際の事故事例や映像を用いながら、わずか数秒の脇見が重大事故につながる危険性を具体的に学びます。たとえば、時速60kmで走行中に3秒間脇見をすると、車は50メートル以上も進みます。そのような事実は、多くの受講者に衝撃を与えるでしょう。
また、実技講習も効果的です。運転シミュレーターを使用して、「ながら運転」の危険性を体感することで、受講者の意識改革につながります。運転中のスマートフォン操作が道路交通法違反となり、重い罰則が科されることについても、しっかりと理解を促すことが大切です。
さらに、定期的なフォローアップ研修を実施することで、安全意識の定着を図ることができます。企業が組織的に取り組むことで、従業員一人ひとりの安全運転への意識が高まり、事故防止に大きな効果を発揮するでしょう。
まとめ
「ながら運転」について解説してきました。運転中にスマートフォンやカーナビを操作する行為は、重大な交通事故につながり大変危険です。2019年の道路交通法改正で罰則が強化されましたが、「ながら運転」をしない、させない環境を作ることが大事です。
防止策として、運転前にスマートフォンの電源を切るかドライブモードに設定し、手の届かない場所に置くことが効果的でしょう。AI搭載ドライブレコーダーの活用や企業による定期的な安全運転研修も、事故防止に大きな効果をもたらします。運転中は前方に集中することが安全運転の基本となるのです。