社用車のバッテリー交換はいつする?費用は経費計上できる?バッテリー交換について解説
目次
社用車のバッテリーはいつ交換する?
JAFロードサービスの出動理由の上位に必ず入ってくるのが『バッテリー上がり』です。そうならないように普段からバッテリーの状態を確認しておきましょう。
バッテリーの交換時期の目安
車両のバッテリー交換時期は、使用環境や走行状況により大きく異なります。一般的に2〜5年が目安とされていますが、車種によって多少の違いがあります。ガソリン車やアイドリングストップ車は2〜3年、ハイブリッド車や輸入車は3〜5年程度で交換を検討する必要があるでしょう。長持ちするかどうかは使い方次第で変わります。普段から短距離走行が多かったり、週末だけしか乗らなかったりする場合は、バッテリーへの負担が大きく劣化が進みやすい傾向にあります。
バッテリーが劣化しているサイン
車両を使用しているとバッテリーの劣化を察知できる場合があります。 エンジン始動時にセルモーターの回転音が遅くなる、車内の電装品の動きが鈍く感じるときは、バッテリーの寿命が近いサインです。特に、パワーウィンドウやクラクションの動作が普段と異なっていると感じたらバッテリーを点検しましょう。近年の車両はLEDヘッドライトを採用しているものが多いため、ライトの明るさによっての劣化は判断しにくくなっています。
また、アイドリングストップ機能を搭載している車両の場合、その機能が効かなくなってきた時も、バッテリーの劣化が原因であることが考えられます。そして、すでにバッテリー上がりを経験したことがある車両は、充電で復帰できたとしても早めの交換を検討すべきでしょう。
バッテリーの交換時期が近いかもと思った時の確認方法
普段からバッテリーの健康状態を把握しておくことが大切です。その確認方法について説明します。
バッテリーの外観や液量を確認する
バッテリーの電解液は希硫酸が水で薄められたものです。この液体が化学反応を引き起こし、電力の放電や充電をする役割を果たします。しかし使用を続けると、水の電気分解や自然な蒸発によって液量が減少し、適切に機能しなくなることがあります。
バッテリーの交換時期かもしれないと感じたら、まずその外観や液量をチェックすることが大切です。たとえば、バッテリー本体が膨らんだり端子周辺に粉がふいたりした場合は、酸化によりガスが発生し劣化が進んでいるサインです。また、透明であるはずの電解液が黒ずんでいる場合も内部の劣化を示しています。メンテナンスフリーバッテリーの場合は、点検用のインジケーターでバッテリーの状態を確認しましょう。
電圧・CCA・比重を確認する
バッテリーの電圧は通常12.5〜12.8V、エンジン始動時は13.5〜14.5Vが正常値とされます。12.0Vを下回ると劣化が進んでいる可能性があるでしょう。
つぎに、CCA(コールド・クランキング・アンペア)はバッテリーの始動能力を示す指標です。寒冷地での始動に重要で、値が高いほど低温下でも始動しやすくなります。小型車では300A以上、中型車や大型車では600A以上が目安となります。 さらに、バッテリー液の比重も重要な指標です。気温20度の場合、1.250以上が正常となります。1.210〜1.240では注意とされ1.210未満では危険とされています。
これらの指標を正確に測定するには専門知識が必要です。また安全面を考慮すると、整備士やガソリンスタンドなどの専門家に依頼するのが賢明でしょう。プロの診断を受けることで、バッテリーの状態を正確に把握し適切な時期に交換できます。
社用車のバッテリーの交換方法
ここからは自身で交換する場合を含め、バッテリー交換の依頼先について説明します。
自分でバッテリーを購入し交換する
バッテリー交換を自身で行えば、費用を抑えることが可能です。しかし、作業には多くの注意が必要です。手順を誤ると、車両火災や電子機器の故障、最悪の場合には感電や失明などの重大事故につながる可能性があるからです。
作業を始める前に、必ず保護メガネとゴム手袋を着用し、周囲に火気がないか、換気は十分かを確認してください。バッテリー液には硫酸が含まれており、目に入ると失明の危険があります。また、引火性の水素ガスを発生させるため、密閉空間での作業は厳禁です。静電気が発生しやすい服装での作業も避けましょう。 交換作業では、まずマイナス端子、つぎにプラス端子の順序でケーブルを取り外します。この際、ショートを防ぐため金属製の工具は絶縁処理されたものを使用し、端子同士が接触しないよう細心の注意を払ってください。
新しいバッテリーの取り付けは取り外しと逆の手順で行います。プラス端子からケーブルを接続ししっかりと固定してください。そして、バッテリー交換によってECUやカーナビの設定がリセットされる場合があるため、事前にバックアップ電源を確保しておくことをおすすめします。 車両と自身の安全のため、作業手順に不安がある場合は無理をせず専門業者に依頼しましょう。
カー用品店に交換を依頼する
カー用品店でのバッテリー交換は、交換工賃が驚くほど安価に設定されています。しかし、店舗の本業が小売サービス業であることから、バッテリー本体の販売で利益を上げる仕組みになっています。工賃は安くてもバッテリー自体には高めの利益が乗せられており、結果として総額は安くない場合があります。
カー用品店は営業時間が長く、時間の融通が利きやすいのが特徴です。また、大手店舗なら幅広いラインナップからバッテリーを選択できるでしょう。セールやポイント還元を上手く活用すれば、比較的安価に購入できる可能性もあります。 一方で、バッテリーを持ち込んでの交換は嫌がる傾向にあります。仮に受け入れても、工賃が割高になることが多いのです。そのため、希望するバッテリーを取り扱っているか事前に確認することをおすすめします。
ガソリンスタンドに交換を依頼する
ガソリンスタンドでのバッテリー交換は、給油のついでに依頼できる手軽さがあります。無料点検サービスを提供している店舗もあり、交換が必要かを判断する際には助かります。
しかし、店舗での在庫数は限られており入荷まで待たされる可能性があります。また、選択肢が少なく価格面では定価に近いのが現状です。持ち込みのバッテリーを断る場合や、受け入れたとしても高額な工賃を提示することも珍しくありません。
そして、ガソリンスタンドのスタッフが必ずしも整備士ではないという点には注意しましょう。交換作業中のショートや、他の部品の不具合を見逃す可能性があります。店舗数は多いもののサービスの質にはばらつきがあります。そのため、バッテリー交換を依頼する際は、事前に対応可能か確認し、スタッフの技術レベルを見極める必要があるでしょう。
ディーラーに交換を依頼する
ディーラーでのバッテリー交換は、車両に精通した整備士による安全で確実な作業が期待できます。しかし、専門的知識を有するため交換工賃が割高になる傾向があるでしょう。 そして、メーカー純正品を使用するためバッテリー代が高額になりがちですが、純正品ならではの品質で安心感は得られます。店舗によっては工賃の値引きや廃棄料の無償化など、顧客サービスに力を入れているところもあるため確認しましょう。
バッテリーの持ち込みは好みません。仮に受け入れたとしても、工賃が通常よりも高く設定される場合が多くありますので注意が必要です。
出張整備サービスに交換を依頼する
出張整備サービスでのバッテリー交換は、時間や手間を節約でき便利です。24時間対応の業者も多く、バッテリーが上がるといった急なトラブルにも迅速に対応してくれるため安心感があります。 ただし、出張料が加算され依頼時間や場所によっては追加料金が発生することもあるため、料金総額は他の業者に比べて高めになる傾向にあります。
そして、料金体系は業者によって異なり、工賃と出張料を一括で表示する場合と分けて表示する場合があります。工賃無料と提示している場合でも、内訳と総額をしっかり確認することが大切です。
指定した時間と場所まで出張してくれるため、複数台の社用車を保有する企業にとって、時間の有効活用と効率的な車両管理の観点から有効なサービスです。
社用車のバッテリー交換の費用
バッテリー交換費用には、本体代金と作業工賃、廃棄費用が含まれます。それぞれについて説明します。
バッテリー本体
バッテリー本体の費用は車種やサイズ、バッテリーメーカーによって大きく変動します。一般的な相場は5,000円から40,000円程度ですが、純正品を選択すると割高になる可能性があります。また、アイドリングストップ車対応や電気自動車専用バッテリーなど、高性能を要する製品であるほど高額になります。
近年の製造技術の向上により、比較的安価な製品でも十分な品質を保持しているかもしれません。しかし、それには見極めが必要です。価格と品質、耐久性なども考慮に入れて慎重に選びましょう。
作業工賃
バッテリー交換の工賃は車種や業者によって大きく異なります。 一般的なガソリン車の相場は1,000円〜3,000円程度ですが、ハイブリッド車や電気自動車は、値段が高くなる傾向にあります。また、外国車の場合は、特殊な技術や部品が必要となることがあり、さらに高額になる可能性があるでしょう。
実際の費用は、業者が独自に設定しているため、事前に確認することが大切です。正確な費用を知るには、具体的な車両情報を業者に提供し見積もりを依頼するのが確実です。価格だけでなく、作業の質や保証内容なども考慮に入れて、総合的に判断しましょう。
交換して使用しなくなったバッテリーの廃棄費用
バッテリーには希硫酸など有害物質が含まれており、交換した際は専門業者による廃棄が必要です。廃棄料には500〜1,000円の料金が発生しますが、無料で引き取る業者も存在します。 自治体の一般ゴミ収集には対応しておらず、自分で交換した場合でも必ず専門業者に引き取り依頼をしなければなりません。通常は、新しいバッテリーを購入した店舗で古いものを引き取ってもらいます。もし購入した店舗での回収が不可能な場合は、専門の廃バッテリー回収業者に依頼するか、カー用品店で有料回収を依頼することが可能です。
社用車のバッテリー交換費用は経費にできる?
さいごに、社用車のバッテリー交換にかかる費用の経費算入について説明します。
バッテリー交換費用は経費計上が可能?
社用車の修理費用は経費として計上できます。会計処理の際には主に「車両費」と「修繕費」という勘定科目が使用されますが、どちらを選択するかは会社の方針次第です。社内で勘定科目を統一しておく必要があります。 経費計上の際は、使用目的や頻度、会社の方針などを考慮し、適切な処理を行うことが重要です。内容が不明確な場合には税理士や会計士に相談し、適切な処理方法を決定することをおすすめします。
経費計上する際の注意点
会計基準には「継続性の原則」があります。一度決定した会計処理の方法は、継続して適用するのが望ましいとされています。バッテリー交換費用を経費として計上する際には、「車両費」や「修繕費」など、勘定科目を決定したら途中で変えないようにするべきです。担当者の交代や引き継ぎの際に混乱を招かないよう、安定した会計処理を保つことが求められます。
また「車両費」として記録する場合には、消費税の計算に注意が必要です。「車両費」には課税取引、不課税取引、非課税取引が混在しています。消費税計算時には手間が増えることが予想されますので、取引内容を細分化して記録するために補助項目を設定することをおすすめします。
まとめ
社用車のバッテリー交換は、車両の安全性と効率性を維持する上で欠かせません。一般的に2〜5年が交換の目安とされていますが、使用環境や走行状況によって大きく異なりますので、バッテリーの状態を日頃から注意深く観察する習慣を身につけましょう。そして、自社のニーズにより交換の依頼先を決定し、円滑な社用車運用を心掛けましょう。