社用車の付帯品について解説
社用車の必須付帯品とその管理
自動車には、安全性を高めるものや快適性を高めるものなど、様々な用途の付帯品があります。社用車に必要な商品を見極めて装備するようにしましょう。
安全と法令遵守のための基本付帯品
有事の際に安全を確保するものは優先的に装備するようにします。中には、使用しなければ罰せられる類の付帯品もあります。
三角停止板とその重要性
交通事故や車の故障により路上に自動車を止めておく際に、後続の自動車に危険を知らせる為に必要な付帯品です。
車載の義務はなく、無積載で交通違反となる事はありません。しかし、高速道路および自動車専用道路上で自動車を停止させる場合には、停止表示器材を表示することが、道路交通法第七十五条の十一で義務付けられています。表示をしなかった場合には「故障車両表示義務違反」になり、反則金が科されます。安全のためにも装備をおすすめします。
スペアタイヤとジャッキ
「スペアタイヤ」は、標準タイヤがパンクした時や異常がある時に、交換し使用します。標準タイヤに比べて細く黄色のホイールが特徴的な、応急処置用に開発されたタイヤです。そのため、標準タイヤとは全く別物であると認識し、装着し走行する時には最高でも70km/h程度の速度に抑え、走行距離は概ね100km程度までとします。
スペアタイヤを自分で取り付けるための車載工具に、自動車を一時的に持ち上げる「ジャッキ」、ナットを締める「L型レンチ」があります。使用方法については車両の取扱説明書に記載している場合がありますが、事前に確認することが必要です。
現在では、スペアタイヤを搭載していない自動車が増えています。一般的には、「応急パンク修理剤」と「エアコンプレッサー」が積んであり、パンクの際には「応急パンク修理剤」を注入後、「エアコンプレッサー」で空気を充填します。
緊急脱出ハンマー(閉じ込められた際のガラス破り)
事故や災害により、ドアが開かなくなる時があります。このような状況では脱出手段が限られるため、「脱出ハンマー」を備えておくことが必要です。水没事故などで車内が水に浸かった場合には、窓を破って自力で脱出する手段として有効です。
ナビゲーションと通信システム
地図表示と音声で行き先を教え、ドライバーを支援し快適な運転をサポートする商品です。
カーナビゲーションの選定と利用
現在では、自動車所有者の8割強が保有しているというデータもあります。
カーナビの種類は主に2種類あります。ダッシュボードのスペースにはめ込んで設置するポピュラーなインダッシュ型と、ダッシュボードの上にディスプレイを設置し、本体は座席下などに置くタイプのオンダッシュ型です。オンダッシュ型には、持ち運び可能な「ポータブルタイプ」があるのも特徴です。
快適性を求めるには、画面が大きく見やすいこと、音声案内が分かりやすいこと、操作性が良い商品を選ぶことが必要です。また、渋滞や事故の情報をリアルタイムで提供する機能があると、運転中のストレスを軽減することができます。
ETCシステムの設置とメリット
ETCを設置していれば、高速道路料金所で現金支払いが不要になるため、通過がスムーズになります。また、利用する時間帯や頻度によって割引を受けられることがあります。
ETCには1.0と2.0があり、ETC1.0は高速道路や有料道路の料金所で利用できます。一方、ETC2.0は、料金所での利用に限らず、高速道路休憩施設の不足解消に向けて、一定の要件を満たした場合に、高速道路から道の駅に一時退出しても追加料金なしとするなど、サービスを拡充させています。また、交通情報を受け取り、渋滞や通行止めなどを回避して最適なルート案内をしてくれる多機能さもあります。
ドライブレコーダーの役割と法的意義
事故やあおり運転などの状況を映像として記録することができます。状況が正確に記録されていれば、証拠として極めて価値が高く、映像通りの事実があったものと法的に認定されます。警察や保険会社に提出することで、事後処理がスムーズに運ぶ場合があります。
駐車中の録画ができるタイプであれば、自動車へのいたずらや車上荒らしなどの犯罪をけん制することもできますし、万一被害にあった際には犯人捜しの有力な手掛かりともなります。
季節ごとの特別な付帯品
日本は南北に長い地形となっているので、季節や住む地域によって必要な装備は変わります。
冬季のタイヤチェーンとスタッドレスタイヤ
タイヤチェーンは、雪道や凍結路面での走行時に必要な商品です。金属のピンが路面にくい込み、高いグリップ力を発揮して走行を助けます。装着し慣れていない場合には時間がかかる可能性があります。
スタッドレスタイヤも同様の目的で作られています。低温時でも硬くなりにくい柔軟性のあるゴム素材と、刻まれた深く大きな溝によって、安定したグリップ力と制動力を発揮します。また、チェーンで問題となる粉塵が解消され環境に優しいのが特徴です。しかし、価格が高く保管場所が必要なことがネックにはなりますので、どちらにするか状況に応じて使い分けが必要です。
夏季の熱対策グッズ
夏場の熱対策には、以下のような商品があります。
① 自動車用サンシェード
直射日光を遮り、車内の温度上昇を抑える。
② ハンドル日よけカバー
ハンドルが熱くなるのを防ぐ。
③ 冷却スプレー
車内やシートに吹きかけて温度を下げる。可燃性ガスを使用しているため火気厳禁であり、使用後は喚起を徹底することが大事。
④ 夏用カーシート
背中やお尻はシートに密着しているので熱がこもりやすい。通気性がよくひんやりした素材で快適に過ごせる。
⑤ 自動車用カーテン
車内に熱がこもらないようにする。暑さだけではなく寒さ対策にもなる防寒カーテンもあり、車中泊時のプライバシー保護など多目的に利用できる。
気候変動への適応アイテム
冬場の雪や寒さ対策には、以下のような商品があります。
① シートヒーター
シートに敷いて使用する。標準装備されている自動車もある。
② スノーブラシ
ブラシとスクレーパーが一体化し、伸縮可能な柄が付いている。雪や霜を除去する。
③ 解氷スプレー
吹きかけて雪や氷を溶かし、再凍結を防止する。
④ フロントガラスシート
フロントガラスにカバーをかけて使用する。除去に時間がかかる霜を防止する。
⑤ エンジンスターター
リモコンによる遠隔操作でエンジンをかける。
社用車のカスタマイズとブランディング
社用車を自社のPRに活用し、走る宣伝カーとして活用できます。またこれまで紹介したもの以外の、ドライブを快適にする付帯品についても紹介していきます。
企業ブランディングのためのアイテム
社用車を用いて、会社の認知度や商品、サービスを向上させることができます。
社用車へのロゴとステッカーの適用
自社の存在を目で見える形でアピールし、宣伝効果を発揮することが可能です。
カスタムペイントと車両ラッピング
自社の世界観を表現するツールとして、広告費を削減しつつ効果を出すことができます。走行中も停車中も人目に留まりやすく、注目を集めることができます。
社用車を使った広告の注意点
広告媒体として非常に有効ですが、無茶な運転でマイナスイメージを与えてしまう可能性があります。従業員へは、会社の顔として公道を走る自覚と運転マナーを徹底させることが必要です。
ディーラーオプションとカスタマイズ
車両注文後に、自動車メーカーの製造ラインで組付ける商品をメーカーオプションといい、ディーラーオプションは販売店に車両が届いてから取り付けることができる商品を指します。
快適性と機能性の向上オプション
自動車を快適に乗るための標準的な商品です。得られる効果から必要な商品を選びましょう。
① フロアマット
車内の汚れや水分を防ぎ清潔に保つ。また、静粛性を向上させる。
② ドアバイザー
雨の日でも窓を少し開けておけば室内の換気ができる。カバーが張り出しているため、雨が室内へ侵入することを防ぐ。
③ マッドガード
タイヤが跳ね上げる泥や小石から車体を守る。汚れを軽減させ、洗車の回数を減らしたりパーツの劣化を遅らせる。
社用車の機能性向上
従業員の安全を第一に考えて、運転を補助する機能の採用も検討しましょう。
高度な運転支援システム
高度な運転支援システム(ADAS)とは、自動車が周囲の情報を取得して警告を行ったり、運転を制御したりすることで、ドライバーが安全かつ快適に運転することができ、事故を防ぐように支援する機能の総称です。ADASには「自動ブレーキ」「歩行者検知」「車線逸脱防止支援」「駐車アシスト」など多岐に渡る機能があります。
社用車付帯品の管理と維持
定期的なメンテナンスを実施して、必要な時に正常に機能する状態を保つようにしましょう。
付帯品のチェックと更新
定期的に状態を確認し、アップデートのある商品は常に最新版へ更新しておくことが重要です。
定期的な安全装備チェック
事故を未然に防ぐための安全装備をアクティブセーフティといいます。「衝突被害軽減ブレーキ」「車線逸脱警報装置」「車間距離制御装置(ACC)」「先行車発進お知らせ」「横滑り防止装置」「ブレーキアシスト」「事故自動緊急通報装置」などがそれにあたります。装備によってはドライバー自らがON/OFFするものもあるので、運転前にはONになっているか確認をします。
ナビゲーションシステムの更新
新しい道路や建物ができる、反対に古いものは閉鎖されるなど、地図情報は定期的に最新版へとアップデートしています。快適に使い続けるには、地図情報の更新が必要です。
ドライブレコーダーのデータ管理
SDカード録画モデルでは、上書きしない設定を選び、SDカードの容量がいっぱいになる前に、定期的に録画映像をパソコンへ移行させます。一方、Wi-Fi機能搭載モデルでは、録画映像をWi-Fi経由でスマートフォンにダウンロードすることが可能です。
社用車付帯品の緊急時対応
安全のための付帯品は、有事の際に活用できるように車両に常時搭載しておくことが大事です。
事故や緊急時の装備活用
冒頭で述べた安全のための付帯品は、その他にも牽引ロープやベルトカッターなどの商品があります。いざという時の備えとして準備し、使用方法を明確にしておく必要があります。
緊急時対応キットの準備
事故や緊急ごとはいつ起こるか分かりませんので、備えとして一式揃えておきます。そして、収納場所については従業員全体で共有します。
緊急時の連絡体制とプロトコル
緊急時には気が動転するものです。会社への連絡手段についてルール化し、連絡網などの体制構築を行います。従業員には、誰にどのような連絡をするかの指導を徹底しておくことが大切です。
まとめ
安全性や快適性を向上させる自動車の付帯品は多岐に渡ります。どのような付帯品が社用車に装備されているのか、その役割と使用方法について従業員に周知させておきましょう。