社用車の補助金について解説
社用車に関する補助金の基本
社用車に対応している補助金について解説します。補助金とは、政府が企業や個人に対して行う給付のことを指し、行政上の目的や効果を達成するために実施されている政策です。
補助金はものづくりやITなど、さまざまなものに対して適用されており、社用車購入の際にも適用される場合があります。
補助金制度の概要と目的
広義的な補助金制度の概要と目的や自動車に関する補助金制度について解説します。
補助金制度の背景と目的
補助金制度は、経済産業省や地方自治体が管轄しているもので、事業の拡大や設備投資などの活動を支援し、発展させるために支給されるものです。
補助金に近いものとして助成金がありますが、補助金は事業拡大や産業発展などの「成長」を目的としているのに対して、助成金は雇用促進や職場改善などの「職の安定」を目的としているという違いがあります。
企業にとっての補助金のメリット
企業にとって補助金の最大のメリットは、社用車にかかる費用が少なくなることです。電気自動車やハイブリッド車などのエコカーを導入するのであれば、補助金を得られるだけでなく環境改善にも役立ち、脱炭素経営をアピールすることで会社のイメージアップにもつながります。
補助金制度の適用範囲
補助金制度は、予算や定員が限られており、申請が通らない場合もあります。補助金の種類によって要件も異なるため、利用したい補助金制度の適用条件を確認し、決められた募集期間に申請できるように準備しておきましょう。
エコカー補助金
エコカー補助金について解説します。制度の内容や申請方法について記載していますので、ぜひ参考にしてみてください。
エコカー補助金の目的と概要
エコカー補助金とは、ハイブリッド車や電気自動車などの環境に配慮した自動車への補助金制度のことをいいます。
2011年以降はCEV補助金(クリーンエネルギー自動車導入促進補助金)という名称で制度化されており、現在では、多くのケースで「エコカー補助金」よりも「CEV補助金」という名称が使用されています。
エコカー補助金制度の背景
エコカー補助金は、環境性能に優れた新車の購入促進を目的として制度化されました。環境性能の高いエコカーは、ガソリン車と比べて製造コストが高く、販売価格が高価になるケースがほとんどです。ガソリン車とエコカーの価格差を縮め、エコカーの購入促進につなげるためにエコカー補助金制度が設置され、新車購入価格の一部を国や自治体が負担しました。
エコカー補助金制度は2010年に申請受付を終了し、2011年以降はCEV補助金がその制度を引き継いでいます。CEV補助金は、トラックやバスなどの事業用の車両には適用されず、自家用車のみ適用されます。事業用自動車には、「商用車の電動化促進事業」が適用されるため、トラックやバスなどの商用車の購入を検討している方は、そちらの制度を活用しましょう。
補助金の対象となる車両の種類
CEV補助金の対象となる車種は、以下の通りです。電気自動車やハイブリッド車などの環境に配慮した車種が対象となっています。
車種 | 説明 |
---|---|
電気自動車(EV) | バッテリーを利用してモーターを動かす自動車 ガソリンは使用しない |
プラグインハイブリッド自動車(PHV・PHEV) | 外部充電機能を持つバッテリーを備えたハイブリッド車 ハイブリッド車とは、電気とガソリンを併用できる自動車のこと |
燃料電池自動車(FCV) | 水素と酸素の化学反応でモーターを動かす自動車 |
クリーンディーゼル自動車(CDV)※2023年度は対象外 | 従来のディーゼル車よりも排出ガスに含まれる有害物質を軽減した自動車 ディーゼル車とは、軽油を使用するディーゼルエンジンを備えた自動車のこと |
商用車の電動化促進事業の対象となる車両は、トラックやタクシー、バスなどの車両で、電気自動車・プラグインハイブリッド車・燃料電池自動車であれば制度が利用可能です。
環境へのポジティブな影響
エコカーの普及は、環境へのポジティブな影響を与えます。エコカーは、ガソリン車と異なり、温室効果ガスを排出しないため、環境を汚染しません。社用車をエコカーへ切り替えれば、環境に配慮した会社としてアピールでき、消費者や取引先企業からの信頼や評価につながる可能性があります。
さらに、長期利用によって燃費を抑えられたり、購入の際に補助金を活用できたりなど、社用車の購入・維持にかかる費用が少なくなる場合もあります。
ただし、社用車の使用環境や電気料金によって費用は異なるため、必ず費用が少なくなるというわけではありません。
補助金対象車両の基準
CEV補助金対象車両の基準について解説します。補助金を利用したい方は、どのような車両が対象になるか事前に確認しておきましょう。
CO2排出量と燃費基準
補助金の対象になる条件として、CO2排出量と燃費基準があります。
CO2排出量については、電気自動車やプラグインハイブリッド車などのクリーンエネルギー自動車であれば、CO2の排出がほとんどないため、問題ありません。
補助金対象となる燃費基準としては、平成24年度の場合は平成27年度燃費基準達成又は平成22年度燃費基準25%超過達成を満たすことが要件にあげられています。年度ごとに燃費基準が設定されているため、確認しておきましょう。
電気自動車(EV)とハイブリッド車
CEV補助金は、電気自動車やハイブリッド車などの、電気を利用する自動車であれば、補助金支給の対象となります。ただし、ガソリン車に比べて車種が少ないため、注意が必要です。
また、社用車をEV化する際は自社の給電設備や充電箇所を把握しておくことも大切です。外部給電器やV2H充放電設備の導入にも補助金が適用される場合があるため、エコカーを購入する際は、同時に充電設備の補助金制度も確認しておくことをおすすめします。
エコカー補助金の適用範囲
CEV補助金の適用範囲としては、新車のみ適用可能で、中古車は適用されません。補助金申請の前に、申請車両が初度登録であることを確認しておきましょう。
さらに、展示車・試乗車などの販売活動の促進目的で使用されないことや、自動車販売業者は初度登録後1年以内は販売しないことなどが、CEV補助金適用の条件としてあげられています。
2022年度のCEV補助金では、クリーンディーゼル車は補助金の対象となっていましたが、2023年度は対象外となっています。理由としては、従来のディーゼル車と比べて温室効果ガスを抑えられてはいるものの、電気自動車やハイブリッド車と比べると大気汚染物質を多く排出しているからです。
エコカー補助金の申請プロセス
エコカー補助金(CEV補助金)の申請プロセスについて解説します。
申請の条件と手順
CEV補助金(令和5年度版)の申請の主な条件は、電気自動車やハイブリッド車などのクリーンエネルギー自動車であることです。詳細な条件は年度によって申請の条件が異なる場合があるため、確認しておきましょう。
大まかなCEV補助金の申請の流れは以下の通りです。 まず、CEV補助金や該当自治体実施の補助金の内容を確認し、該当する補助対象車両を購入します。その後、補助交付申請書類を提出し、審査後に補助金が交付されます。
申請方法はオンライン申請と紙申請の2つがあり、申請方法によって手順が異なるため、注意が必要です。
必要書類と申請期限
法人の補助金申請に必要な書類は下記の通りです。
- ・補助金交付申請書
- ・現在事項全部証明書または履歴事項全部証明書いずれか1つの写し
- ・次世代自動車振興センターが指定する様式の役員名簿
- ・自動車検査証または標識交付証明書
- ・申請者宛ての車両代金の領収書の写し
- ・申請者が車両購入者となっている注文書、請求書、売買契約書いずれか1つ、写し
- など
令和5年度版の提出期限は1ヶ月~2ヶ月(原則車両の初度登録日から1ヶ月以内)で、初度登録日によって例外もあります。詳しくは一般社団法人次世代自動車振興センターのホームページを参照しましょう。
申請後のプロセスと承認基準
申請後は交付申請書類の審査が行われ、補助金交付認証されたあと口座へ入金されます。CEV補助金の承認基準は、新車でないと適用されないため、注意が必要です。
業務改善助成金
景気の先行きが不透明な昨今、企業の安定成長には業務効率化と品質向上が欠かせません。しかし、そのために必要な設備投資やシステム導入、人材育成には相応のコストがかかります。
日本経済を支える中小企業や小規模事業者は、企業数の99.7%を占め雇用の7割を担う重要な存在ですが、十分な資金を確保することが困難な状況にあります。
そこで国はさまざまな支援策を打ち出しています。その中でも注目を集めているのが「業務改善助成金」です。この制度は、特定の条件を満たした企業に対し、業務改善のための費用の一部を助成するものです。
「業務改善助成金」について、その詳細や申請方法をわかりやすく解説していきます。
業務改善助成金の目的
「業務改善助成金」の目的は多岐に渡ります。
一つ目は、生産性向上の促進です。企業は助成金を活用して、設備投資や業務プロセスの改善、IT化の推進などを行えます。これにより、業務効率が向上し、コスト削減や品質向上につながります。また、新たな技術やアイデアの導入を通じて、新たな事業の機会創出が期待できます。
二つ目は、賃金引上げの支援があります。生産性向上によって得られた利益を、従業員の賃金引上げにつなげることを促進します。これは、従業員の生活水準向上や労働意欲の向上、さらには人材の確保と定着にも寄与します。特に、最低賃金の引上げに伴う中小企業や小規模事業者の負担を軽減し、円滑な経営を支援する役割を果たします。そして、大企業と中小企業・小規模事業者の間の生産性格差や賃金格差の是正にも貢献します。
三つ目は、働き方改革を推進します。業務改善を通じて、長時間労働の削減や労働環境の改善を促進します。これにより、従業員のワークライフバランスの向上や、多様な働き方の実現を支援します。また、従業員のスキルアップや教育訓練を支援することで、人材育成にも貢献します。
業務改善助成金の概要
「業務改善助成金」は、中小企業や小規模事業者が生産性向上を目的とした設備投資や人材育成を行う際に、その費用の一部を助成する制度です。具体的には、機械設備の導入、コンサルティング活用、人材育成や教育訓練などが対象となります。
助成金を受けるためには、事業場内最低賃金を30円以上引き上げることが条件となります。そして助成金の額は、「生産性向上に資する設備投資等にかかった費用に一定の助成率をかけた金額」と「助成上限額」を比較し、いずれか安い方の金額が支給となります。
助成率は、所在地域の最低賃金額に応じて変動しますが、75~90%となります。助成上限額は、従業員数や賃金の引上げ幅、引上げ人数に応じて変動しますが、30万円〜600万円となります。
社用車が業務改善助成金の対象となる要件
通常では、一般事業者は社用車を「業務改善助成金」の対象経費に含むことができません。しかし、特定の条件を満たす場合に限り、社用車を助成対象とできる可能性があります。
それは企業が特例事業者であることです。原材料費の高騰などの外的要因により、申請の「直近3カ月のいずれかの利益率」と「その前年同月の利益率」を比較して3%以上減少している事業者がそれにあたります。
そして、対象となる車両の条件は、定員7名以上または、車両本体価格200万円以下の乗用自動車や貨物自動車です。
申請には、社用車の導入によって、具体的にどのような効果が期待できるのかを数値で示す必要があります。例えば、営業活動の効率化による売上増加、配送時間の短縮による顧客満足度向上、移動時間の削減による従業員の労働時間短縮など、業務効率化や生産性向上などを定量的に示すことが重要です。
業務改善助成金の申請プロセス
「業務改善助成金」の申請について、準備から交付決定までのフローを説明します。
①事前準備:申請を行う前に、自社が助成金の対象となる要件を満たしているかを、厚生労働省や都道府県労働局のホームページなどで確認します。そして、申請に必要な書類を準備します。
②申請書の作成と提出:交付申請書類一式を作成し、管轄の都道府県労働局へ提出します。申請書類には「交付申請書」と添付資料があります。添付資料には、「事業実施計画書」や「助成対象経費の見積書」「生産性要件を満たしていることが確認できる書類」「特例事業者に該当することを確認できる書類」「申請前3月分の賃金台帳の写し」「その他参考となる書類」があります。
③審査:「事業実績報告書」「支給申請書」を元に労働局が申請内容を審査します。
④交付決定:審査の結果、助成金の交付が適当と認められた場合、労働局から「交付決定通知書」が送付されます。この通知を受け取ってから、設備投資などの事業を開始することができます。
「交付決定通知書」を受け取った後、「事業実施計画書」に基づいて事業を実施します。事業完了後には「事業実績報告書」と「支給申請書」を作成し、実績報告を行います。実績報告では、事業計画の内容に沿って事業が実施されたことを証明する必要があります。その後の審査を経て助成金が支払われます。
充電設備・V2H充放電設備・外部給電器補助金
昨今、環境問題への関心はますます高まっています。日本では2050年までに、温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡させて気候変動を抑制し、地球と私たちを守るためにカーボンニュートラルの実現を目指しています。
その取り組みの実現には、環境性能に優れた電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)の普及が重要です。そして普及を促進するためには、同時に充電インフラの整備を全国各地で進めなければなりませんが、設置のための初期コストが高いことが障壁となっています。
そこで政府は、事業所や自宅でのEV充電設備の設置費用、車両から事業所や家庭に電力を供給するV2H(Vehicle to Home)システムの導入費用、そして外部の非常時給電器の設置にかかる費用をサポートし導入を支援しています。
分かりづらい点がある補助金ですが、「充電設備・V2H充放電設備・外部給電器補助金」のそれぞれについて、詳細を分かりやすく解説していきます。
充電設備・V2H充放電設備・外部給電器補助金の目的
充電設備・V2H充放電設備・外部給電器補助金の目的は大きく二つあります。
一つ目は、2050年までにカーボンニュートラルを達成するため、環境性能に優れた電気自動車やプラグインハイブリッド車の普及を促進し、充電インフラである「充電設備・V2H充放電設備・外部給電器」を日本全国に拡充させることです。
二つ目は、災害時に非常用電源として活用できる「V2H充放電設備」や「外部給電器」の導入を支援し、地域の防災力を強化することです。「V2H設備」や「外部給電器」を用いることで、電気自動車やプラグインハイブリッド車から電力を取り出し、避難所などへ電力を供給することが可能になります。これは、災害時でも電力供給網を維持し、復旧までの時間稼ぎになります。また、医療機器への電力供給など緊急時の対応が可能になり、様々な場面で役立ちます。
充電設備・V2H充放電設備・外部給電器補助金の概要
続いてそれぞれの設備について概要を説明します。
充電設備
充電設備は、電気自動車やプラグインハイブリッド車のバッテリーを充電するための装置で、主に公共用と家庭用の2種類があります。
公共用充電設備は、商業施設や公共の駐車場に設置され、多くの人が利用できるようになっています。特に急速充電器が多く設置されており、30分程度で80%まで充電可能です。
家庭用充電設備は、自宅の駐車スペースに設置され、通常の100V電源や200V電源を使用します。充電時間は数時間から十数時間程度かかります。
V2H充放電設備
V2H充放電設備は、Vehicle to Homeの略称です。電気自動車やプラグインハイブリッド車と家庭の電力系統を双方向につなぐシステムで、電気自動車から家庭への電力供給や、家庭から電気自動車への充電が可能となります。
この設備の主な用途としては、災害時の非常用電源としての活用や、電力料金の安い夜間にEVを充電して昼間に家庭で使用するなど、電力の効率的な利用が挙げられます。
外部給電器
外部給電器は、電気自動車やプラグインハイブリッド車のバッテリーに貯めた電力を、外部の電気機器に供給するための装置です。災害時や停電時に車両を移動式の大容量バッテリーとして活用し、家電や医療機器などの必要な機器に電力を供給することが可能になります。また、キャンプや屋外イベントなどのアウトドアでも電源として利用でき、電気自動車の活用を多様化します。
補助金の対象となる要件
補助金対象の要件について、それぞれの設備ごとに説明します。
充電設備
申請者は充電設備の購入および設置工事にかかる予算を確保し、設置計画を立て、交付決定のスケジュールに合わせた日程を計画することが求められます。また、設置場所は既存の駐車スペースを利用し、法令に違反しないようスペースを確保する必要があります。補助対象となる充電設備は、認可された型式であり、設置工事も指定された工事項目に該当するものでなければなりません。
そして、申請者が土地の使用権限を有し、工事完了後に代金還元を受けた際はセンターへ報告する義務があります。補助金の重複申請は許されず、暴力団排除に関する誓約も必要です。
さらに、充電設備は新品で購入し、交付決定日以降に発注・施工を行い、実績報告期限日までに報告を完了することが求められます。
事務所・工場への設置については、社有車や従業員の通勤車用であり、来客車用駐車場には設置しないことが条件となります。これらの要件を満たし、充電設備の利用状況の情報提供義務を了承することが求められます。
V2H充放電設備
申請者は予算確保後に申請し、要件に合致した設置計画を立てる必要があります。V2H充放電設備は新品で、1台分の駐車スペースに1基設置が原則です。
また、設置場所や土地の使用権限、工事スケジュール、支払方法などにも条件があり、申請者は暴力団排除条項に該当せず、他の国の補助金と重複しないことが求められます。
そして、設備の継続的管理や利用状況の報告、災害時の協力なども必要です。
さらに、設置場所によって追加の要件があり、公共施設・災害拠点では複数基設置可能ですが、それ以外は1基限定です。個人宅の場合は電気自動車等の保有が条件となります。マンション等への設置には住民の合意が必要です。
外部給電器
交付決定日後に発注された、新品の外部給電器であることが条件です。購入費は一括払いか全額支払い手続きを完了させる必要があり、手形は除外されます。リースの場合は、リース会社が申請者となり、リース期間は原則処分制限期間以上であることが求められます。
また、補助金はリース会社に交付され、その分をリース料金に反映させることが必要です。申請者は外部給電器の購入者またはリース会社である必要があります。
法人番号を持つ申請者は、補助金交付情報が「gBizINFOサイト」で公表されることを了承しなければなりません。
そして、申請者は外部給電器の所有情報を国や地方公共団体に提供すること、災害時の貸与要請に協力することを了承する必要があります。
さらに、センターから求められた場合、利用状況データを提供し、国への提供を了承することが求められます。
充電設備・V2H充放電設備・外部給電器補助金の申請プロセス
補助金の大まかな申請プロセスについて説明します。
申請者は交付申請期間内に「次世代自動車振興センターオンライン申請システム」を利用し、必要なデータ入力と書類のアップロードを完了させ、申請ボタンを押します。
センターが設備や申請内容について不適切であると判断した場合は、申請が無効となることがあります。また、不備がある書類については一定期間内に修正する必要があり、適切な修正が行われない場合は申請が無効となります。
受付後にセンターは、入力内容や提出書類を基に交付額を算定し、必要に応じて現場確認や施工会社へのヒアリングを行います。交付決定通知書は申請者に郵送で送付され、条件付き交付決定の場合はその条件を履行しなければならないため注意が必要です。条件が履行されない場合は交付決定が取消される可能性があります。
各自治体の補助金
企業にとって社用車は、事業を成長させる大事なツールであり重要な資産でもあります。ただ、購入やメンテナンス、維持費など、多額の費用がかかるのも事実です。そこで、国は環境に優しい自動車や付帯設備への補助金助成を実施していますが、自治体でも独自に、国のものと併用できる補助制度を実施しています。
自治体オリジナルの施策にスポットをあてて紹介していきます。
【北海道札幌市】札幌市ゼロエミッション自動車購入等補助制度
北海道札幌市では、電気自動車や燃料電池自動車への乗り換えを推進し、環境負荷低減と二酸化炭素排出量削減による脱炭素社会の実現を目的として、補助制度を実施しています。
補助対象
電気自動車、燃料電池自動車、V2H充電設備、基礎充電設備
補助金額
電気自動車:定額10万円
軽電気自動車:定額5万円
燃料電池自動車:定額50万円
V2H充電設備:上限15万円/台
基礎充電設備:上限15万円/基
対象者
札幌市民・個人事業者やリース事業者を含む事業者
応募要件
- ・札幌市税の滞納がないこと
- ・札幌市内で1年以上同じ事業を継続していること
- ・購入した車両や設備を車両は4年、設備は5年以上使用する予定があること
- ・同じ対象について他の札幌市の補助金を受けていないこと
- ・暴力団員やその関係者でないこと
URL
https://www.city.sapporo.jp/kankyo/zidousya_kankyo/jisedai_hojo.html【宮城県仙台市】仙台市事業所用クリーンエネルギー自動車導入支援補助金
宮城県仙台市では、地球温暖化対策の一環として「仙台市地球温暖化対策等の推進に関する条例」を制定し、市と事業者が協力して温室効果ガスの排出削減に取り組んでいます。その取り組みの一例として、「温室効果ガス削減アクションプログラム」に参加する中小企業などに対して、クリーンエネルギー車の導入費用の一部を補助する制度が設けられています。
補助対象
電気自動車、プラグインハイブリッド自動車、燃料電池自動車
補助金額
乗用車:1台あたり補助上限30万円
貨物自動車等:1台あたり補助上限50万円
乗合自動車等:1台あたり補助上限50万円
対象者
中小企業者、医療法人、社会福祉法人、学校法人、リース事業者
応募要件
【中小企業者、事業協同組合、協業組合、医療法人、社会福祉法人又は学校法人の場合】
- ・現在の車を抹消登録し、新たにクリーンエネルギー車を購入または所有する
- ・市内に事業所や工場、店舗等を持っていること
- ・事業者温室効果ガス削減計画書を市長に提出していること
- ・事業用自動車を既に2台以上所有またはリースして使用していること
- ・補助事業を開始しておらず開始前に申請書を提出すること
【リース事業者の場合】
- ・上記要件を満たす対象者に、クリーンエネルギー自動車を貸し出す事業者で、市内に事業所があること
- ・賃借人と5年以上のリース契約を結び、リース料から市の補助額以上を差し引いた金額で算定すること
- ・同一年度内で同じ使用者による重複申請不可。ただし、1回の申請で乗用車2台まで、または貨物・乗合自動車1台まで可能
URL
https://www.city.sendai.jp/ondanka/jigyosha/actionprogram/hojokin/cevjidousya.html【茨城県神栖市】電気自動車普及促進事業補助金
茨城県神栖市では、環境に配慮した電気自動車や電気自動車用急速充電スタンドを導入する場合に、定められた予算内で補助金支給事業を実施しています。
補助対象
電気自動車、急速充電設備
補助金額
電気自動車:上限20万円 急速充電施設:上限75万円
対象者
神栖市民、事業者
応募要件
- ・補助事業完了後30日以内(年度末の場合は3月31日まで)に実績報告書を提出できること
- ・申請時に市内に1年以上継続して住所があること(車の使用者が対象)
- ・電気自動車の場合は、自身で使用するために導入すること(リース可)
- ・急速充電スタンドの場合は、設置場所を所有または管理し公開を了承できること(リース可)
- ・市税の滞納がないこと
URL
https://www.city.kamisu.ibaraki.jp/living/gomi/1001057/1001063/1001064.html【京都府長岡京市】長岡京市COOL CHOICE実践補助金
「環境の都」を目指す長岡京市は、地球温暖化を防止するため、「COOL CHOICE」という温暖化防止と住みやすさの両立を目指す賢明な選択を実践する者に対し、その取り組みにかかる費用の一部を支援する制度を導入しています。
補助対象
電気自動車、プラグインハイブリッド自動車、燃料電池自動車
補助金額
定額10万円
対象者
長岡京市民、事業者
応募要件
- ・「自動車検査証」上の「使用の本拠の位置」が市内であり「使用者」が申請者と同一であること
- ・補助対象経費に係る支払い手続きが完了していること
- ・申請者が事業者の場合には車両の初回登録年月から4カ月以内に申請を行うこと
- ・申請者が事業者でリースの場合にはリース期間が11カ月以上であること
URL
https://www.city.nagaokakyo.lg.jp/0000010968.html【広島県廿日市市】次世代自動車導入促進補助金
広島県廿日市市では、大気環境の改善やCO2排出量の減少、そして災害対応能力の向上を目指し、電気自動車やプラグインハイブリッド車、燃料電池車、および超小型モビリティを購入する個人や法人に対し、予算内で補助金を支給する制度を実施しています。
補助対象
電気自動車、プラグインハイブリッド車、燃料電池自動車、超小型モビリティ
補助金額
一律10万円/台
対象者
廿日市市民、事業者
応募要件
- ・延滞金を含む市税の滞納がない者
- ・廿日市市暴力団排除条例第2条第2号に規定する暴力団員または同条第3号に規定する暴力団員でない者
- ・補助金を法令または公序良俗に反する行為に利用するおそれがないと認められる者
URL
https://www.city.hatsukaichi.hiroshima.jp/soshiki/131/108418.html【鹿児島県さつま町】ゼロカーボン推進事業
鹿児島県さつま町は、「持続可能な未来づくりカーボンニュートラルさつま町宣言」を掲げ、2050年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロにする目標を設定しています。この目標達成の一環として、脱炭素化に貢献する設備や技術、たとえば「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス」や「電気自動車」などの導入に対する補助金制度を設けています。
補助対象
電気自動車、超小型モビリティ、V2H充電設備、家庭用充電設備
補助金額
普通電気自動車:定額20万円
軽電気自動車:定額15万円
超小型モビリティ:定額5万円
V2H充電設備:定額10万円
充電設備:定額2万円
対象者
さつま町民、事業者
応募要件
- ・電気自動車や超小型モビリティを自ら使用する者
- ・V2H充電設備や充電設備を購入し電気自動車を使用する位置に設置する者
- ・さつま町内に住民登録があること
- ・町税等の滞納がないこと
URL
https://www.satsuma-net.jp/soshiki/yakuba/1006/2/carbon_neutral/6329.html補助金申請の実務と手続き
補助金申請の実務と手続きを解説します。補助金申請が通りやすくなるコツや補助金を最大限活用する方法を把握して、社用車にかかる費用を減らしましょう。
補助金申請のプロセス
補助金申請のプロセスとして、CEV補助金を例に記載します。
CEV補助金申請の場合は、自動車の購入と登録後に補助金交付申請書を提出し、審査を受けて確定通知書をもらいます。その後、1週間程度で指定した口座に補助金が振り込まれると補助金申請の完了です。
新車の初度登録日から3~4年ほどの一定期間は保有が義務づけられているため、注意が必要です。
地方自治体が実施している補助金申請の場合は、自治体ごとに申請プロセスが違う場合があるため、各自治体の補助金制度を確認しておきましょう。
補助金活用のための戦略
補助金活用のための戦略について解説します。
補助金を最大化する戦略
EVの補助金は、国によるCEV補助金と該当する自治体の補助金の2種類があり、ほとんどの自治体で国による補助金と併用が可能です。会社がある地域を担当している自治体の補助金制度を確認しましょう。国と自治体の補助金を併用すれば、購入費用を少なくでき、環境性能の高い社用車を入手できます。
予算計画への組み込み
補助金を活用する際は、予算計画に組み込むことが大切です。その際、減価償却は補助金を抜いた金額で計算する必要があったり、決算期をまたぐ場合は補助金は交付を受けた年度の収入となったりなど様々な決まりがあるため、自分達だけでは適切に処理できない場合もあります。税理士などに相談しつつ、適切に予算計画へ組み込みましょう。
補助金による長期的なコスト削減
環境性能の高いエコカーは製造コストも高く、ガソリン車と比べて初期費用がかかりますが、補助金を活用して初期費用を抑えることによって、長期的なコスト削減が期待できます。エコカーの初期費用が高くなる1番の要因は、バッテリーが高額になることです。初期費用だけでなく、修理や交換にかかる費用も比較的高価になる傾向があります。
しかし、初期費用が高額な分、燃料費が大幅に削減できるため、トータルコストで考えると大抵は、エコカーのほうが安くなるでしょう。
申請の成功率を高めるコツ
申請の成功率を高めるコツを紹介します。
正確な情報と完全な書類
申請車両や必要書類に不備がないか自分でも確認しておきましょう。購入前にあらかじめ補助金制度をある程度理解しておくと、スムーズに申請ができます。
申請の際のコミュニケーション
申請時の受け答えがスムーズにできるように、申請する内容等を確認しておきましょう。受け答えがはっきりしていると、相手に良い印象を与えられて認証されやすくなります。
申請プロセスの見直しと改善
補助金申請の工程を忘れないように、申請の途中にも手順を確認しましょう。補助金の制度は毎年変わるため、該当年度の制度を参照しているか注意が必要です。
また、申請の受付と交付は先着順であるため、早めに申請しておくことも大切です。