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物損事故の損害賠償の範囲や事故後の対応について解説

oPPice編集部

物損事故の損害賠償の範囲や事故後の対応について解説

物損事故は、人身被害が発生せず車両や物品が損傷する交通事故を指します。こうした事故では、主に物の損害に対する賠償が争いの焦点となります。

この記事では、物損事故の具体的な内容や補償される範囲、正しい事故後の対応について詳しく解説します。

物損事故の定義

物損事故は人身事故とは異なり、身体に関する損害が発生しない事故のことを指し、国土交通省では「衝突・接触を伴うが、死傷者がいないもの」と定義されています。

物損事故と人身事故では、加害者に対して課される法的責任に差が出ます。具体的には物損事故の場合、加害者が刑事や行政上の責任を負うことは基本的にありません。被害者が請求できるのは物に生じた損害についての民事責任のみです。

物損事故における損害賠償の範囲

物損事故で請求できる損害賠償は、主に修理費や評価損などの財産的損失に限られます。

損害賠償の請求ができるもの

物損事故においては、車両の修理費用や買い替えに係る諸費用が損害賠償の中心となります。それぞれについて説明します。

車両の修理費用

物損事故により車両が損傷した場合には、修理可能であれば実費として費用を請求できます。ただし、請求するには、事故による損傷箇所を明確に特定し、その修理が事故に直接起因するものであることを証明する必要があります。

このため、事故直後には損傷状態の記録を写真や動画で行い、証拠を確保することが重要です。過剰な費用や不必要な部品交換は請求が認められないこともあります。

修理不能と判断される全損の場合には、車両の時価相当額が賠償されます。時価の算出は、事故直前の車両の市場価格を基に行われ、必要に応じて新車購入に関する費用の一部も賠償されることがあります。修理可能か全損扱いかの判断には、保険会社や専門業者による評価が不可欠です。

事故前と事故後の車両の評価額の差額費用

評価損とは、修理しても車両の価値が下がってしまった場合の、事故前と事故後の評価差額を指します。たとえば、修理をしても車両の見た目や性能が以前の状態に戻らなかったり、事故歴が市場価値に影響を与える場合などが該当します。

評価損は、車両購入時期や事故時の車両状況、損傷箇所などに基づいて評価されることから、保険会社との交渉で争点となることが多いです。新車に近い車両や高級車ほど評価損が認められる可能性が高くなりますが、証明するための実務的な手続きが必要です。

買い替えに係る諸費用

買い替えに係る諸費用とは、物損事故で車両が全損扱いとなり、買い替えが必要な場合に発生するさまざまな費用を指します。車両時価額から事故車両の売却代金を差し引いた差額を補償請求することが基準となります。

新車購入費がこの差額を超える場合、その超えた部分は補償されないため、自己負担となる可能性が大きいでしょう。また、買替諸費用として、登録手続きや車庫証明、自動車取得税など、中古車市場で同等の車両を取得する際に必要な費用も該当します。適切な買替補償を受けるためには、購入予定の車両と事故車両の条件をしっかりと比較し、それに伴う費用の内訳を提出する必要があります。

代車費用

事故で使用不能となった車両の代わりに、修理または買い替え完了まで代車を使用するための費用が代車費用です。この費用は、代車の必要性が証明された場合に賠償請求が可能です。

具体的には、事故車両の使用目的が通勤か業務利用であり、代替手段がないことの確認が重要です。賠償を受けるには、代車が事故車両と同等の市場価値であるなどの相当性が求められます。そして、代車使用の期間も過度に長引かないよう、合理的な範囲に収めることが必要で、通常は2週間から1ヶ月が目安とされます。代車の手配と関連資料を確認し、請求手続きを進めましょう。

休車損害費用

休車損害費用では、物損事故で一時的に使用できない営業用車両がある場合に、発生する経済的損失を賠償請求できます。特にタクシーやバス、トラックといった事業用に使用される車両が対象です。事故で営業活動ができない期間に得られるはずだった利益を「平均売上額-必要経費」の計算式で見積もります。しかし、代替車両が利用できる場合や、実際の営業損失が発生していない場合は休車損害が認められないこともあり、損失に関する証明が不可欠です。

その他費用

物損事故により発生するその他の費用には、事故車のレッカー代や事故車の保管料、時価査定料、廃車に関する費用などがあります。また、修復が必要な家屋や店舗設備の修理費、積荷や衣類の損害、ペットに関する損害賠償請求も可能です。これらの請求は、損害発生と事故の因果関係を明確にすることが求められるため、しっかりとした記録と証拠を準備する必要があります。

損害賠償の請求ができないもの

物損事故では、慰謝料や迷惑料といった請求はできません。以下に説明していきます。

慰謝料

物損事故における慰謝料請求は通常認められません。物損に伴う精神的苦痛は、修理や買い替えによる財産補償で解決されます。そのため、特別なケースを除いて慰謝料を請求することはできません。たとえば、極めて希少な品物や家宝が損壊した場合などは例外的に慰謝料が認められることもあります。また、ペットが事故で死傷した場合などでは、精神的苦痛の慰謝料が認められた過去の判例も存在します。

迷惑料

迷惑料とは、被った不便や精神的負担に対する金銭的補償を指す非公式な金銭のやり取りで、法的に認められていません。迷惑料は法律上の権利とはされておらず、実際の賠償項目には含まれません。事故処理の時間や手間による精神的負担も、修理費用などの賠償によって解決されるとみなされるため、迷惑料としての請求は受理されません。加害者からの金銭の提供は価値観や双方の関係性に基づいたものなのです。

物損事故に遭った後の流れ

ここでは、物損事故に遭った後の流れにおいて、その直後に取る行動と損害賠償請求の方法についてを解説します。

事故に遭った直後

事故直後は気が動転することが多いですが、まず警察に連絡し、所定の手続きを行うことが必要です。その後、損害確定の資料を作成する流れとなります。

周辺の状況を確認する

物損事故の直後には、まず周囲の状況を的確に把握することが重要です。事故現場での証拠保全は後のトラブル防止に役立ちますので、スマートフォンやカメラで現場の写真や動画をしっかり記録しておきましょう。

そして、もしペットが事故に巻き込まれてしまった場合、ペットの安全と健康が最優先です。すぐに近くの動物病院に連絡を取り、専門的な手当てを受けられるよう手配しましょう。その際にも、傷の状態や現場の状況を詳細に記録しておくと、後々の交渉において有利に働く可能性があります。

警察に連絡する

事故直後には、道路交通法で義務付けられている警察への通報を最優先で行いましょう。事故現場では車を安全な場所に移動させ、すぐに警察に伝えるようにします。警察に届け出て交通事故証明書を取得しないと、後の賠償手続きに支障が出る可能性があるため、通報は必須となります。もし通報しなかった場合は、報告義務違反として罰金や懲役が科される恐れもあるため注意が必要です。

損害確定の資料を作成する

事故後に適切な賠償を受けるためには、損害確定のための資料をきちんと用意することが重要です。車両の修理見積書や、代車にかかる費用の領収書などを揃えることで、損害賠償請求時に必要な基礎資料となります。これは、契約保険会社が代行してくれる場合もありますが、自身で資料を収集する際には、事故状況を詳細に記した交通事故証明書も手配する必要があります。

また、一度物損事故として処理されたケースでも、後に損害が大きくなり人身事故への切り替えが可能な場合があります。早めに動くことで証明書取得の期日を見逃さず、適切に対処することができるでしょう。事故後の初期段階から、しっかりとした記録を残すことが、後の交渉や賠償において非常に大切です。

人身事故への切り替えについて詳しくはこちらの記事をご覧ください。
https://oppice.parkingmarket.co.jp/article/maintenance/1172/

損害賠償の請求をする

損害確定の資料を準備したら、損害賠償請求を起こしましょう。

示談交渉をされた場合

物損事故による示談交渉は、通常は加害者側の保険会社を通じて行われます。示談交渉では、まず請求すべき損害額を正確に把握し、それに基づいて話し合いが進められます。損害の詳細や過失に関する議論となるため、当事者同士の合意が得られるかが鍵となります。

交渉では保険会社から賠償金の提示が行われることが多いですが、被害者としてその内容を慎重に確認し、十分な内容かどうかを判断する必要があります。提示された賠償額に納得がいかない場合は、自身の資料や証拠を基に、より良い条件を得るための交渉を展開しましょう。

また、損害の証明となる修理見積書や修理に伴う領収書、車両の評価損に関する資料をしっかりと提出することで、交渉を有利に進めることが可能です。交渉を進める際には、感情を出さず冷静に対処し、誠実なコミュニケーションに努めることが示談成立への近道です。

交渉によって双方が合意に達した際には、示談書に署名・捺印を行い、正式に合意内容を文書化します。この後に賠償金が支払われ、示談に関する一連の手続きが完了します。

示談交渉が難航した際は、交通事故紛争処理センターや日弁連交通事故相談センターを介して、裁判外紛争解決手続(ADR)を利用することも可能です。

裁判をする場合

示談交渉が難航し合意に至らない場合には、次のステップとして裁判を検討することになります。

物損事故でのトラブルとして、過失割合や賠償額の合意が困難になったり、加害者の誠意ある対応が得られずに、感情的な対立に発展したりするケースがあげられます。そして、このような場合に裁判を通じた解決策が活用されます。

物損事故による訴訟の場合、損害額が60万円以下であれば少額訴訟を利用して迅速な解決を図ることができます。適切なタイミングで弁護士に相談することも検討しましょう。

行政上の処分はどうなる?

物損事故では基本的に免許に関する行政上の処分は課されません。そのため、違反点数や罰金が発生することもないのが通常です。

ただし、交通違反が原因での事故や、現場を離れるといった故意の過失がある場合は別です。特に、当て逃げのように事故後の必要な措置を怠ると、危険防止措置義務違反や安全運転義務違反に該当し、違反点数が加算される可能性があります。このような状況では、合計で7点が加算され、前歴が無く初めてであっても免許停止処分が30日間科されます。また、建造物を損壊させるような大規模な損害事故の場合も、行政上の処分や刑事罰が科されることがあるため注意が必要です。

まとめ

物損事故における損害賠償や事故後の対応について解説しました。それらの対応は冷静かつ迅速に行うことが重要です。日常生活や今後の運転への影響を最小限にとどめるために、適切な行動を心掛けます。

物損事故を円満に解決するためには、事故後の対応と準備が大切です。保険会社や弁護士など専門家のサポートを受けながら、最善を尽くしましょう。

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