VICSとは?提供している情報や使用するメリットについて解説

VICSは、道路交通情報をリアルタイムで提供するシステムとして、ドライバーにとって欠かせない存在となっています。24時間365日、渋滞や事故、通行止めの情報を迅速にドライバーに届けることを主な機能とし、効率的で安全な運転をサポートしています。
このシステムは、FM多重放送やビーコン通信を利用してカーナビに情報を提供し、最適なルートを提示します。それにより、旅行先で急な交通規制が発生した場合でも迂回するなどの対応をとることができ、目的地への到達時間も短縮することが可能になります。
この記事では、VICSの基本的な仕組みから活用のメリットまで、詳しく解説していきます。
VICSとは?
VICSとは、24時間365日稼働する道路交通情報システムのことです。
VICSセンター(一般財団法人道路交通情報通信システムセンター)が運営しており、カーナビゲーションシステムと連携して、安全で快適な運転をサポートしています。「Vehicle Information and Communication System(車両情報通信システム)」の頭文字を取って命名されています。
VICSは、FM多重放送やビーコンを通じて、交通情報をリアルタイムにドライバーに届けます。渋滞状況や事故の発生、通行止めといった情報をカーナビの画面上に表示することで、最適なルート選択を可能にしているのです。
VICSを使うメリット
VICSを利用するメリットは、効率的なルート案内が提供されることで、安全運転に貢献する点です。さらに、駐車場の満空情報も把握できるため、ドライバーにとって非常に便利です。それぞれ説明していきます。
効率的なルート案内をしてくれる
VICSを活用することで、渋滞や交通規制といったリアルタイムの道路交通情報を取得でき、スムーズなルートを選択できる点が大きな魅力です。これにより、混雑を避けて目的地に到達する時間を短縮できます。たとえば、初めて訪れる旅行先で急な交通規制があっても、適切な対応が可能になります。
安全運転につながる
VICSを使用すると、道路交通状況をリアルタイムで把握できるため、運転に心理的な余裕が生まれ、安全運転に寄与します。
交通情報が的確に得られると、渋滞を避けるルート選択が可能になり、運転時のストレスが軽減されます。この余裕が集中力を高め、結果として安全な運転を支えるのです。
また、光ビーコンから発信される「信号情報活用運転支援システム(TSPS)」を利用することで、信号の変化に合わせたスムーズな運転が可能になり、さらに安全性と効率性が向上します。
駐車場の満空情報がわかる
VICSを利用すると、サービスエリアやパーキングエリアにある駐車場の満空情報をリアルタイムで確認できます。カーナビのタッチパネルやリモコンで操作すれば、駐車場の位置だけでなく、営業時間や料金、収容台数、施設の詳細情報も閲覧可能です。
このサービスの対象には、通常利用される常設駐車場のほか、イベント時に設置される臨時駐車場も含まれています。効率的に駐車場を見つけられることは大きなメリットとしてあげられます。
VICSの受信方法
VICSを受信するには、VICS対応のカーナビを取り付け、受信設定をする必要があります。
VICS対応のカーナビを取り付ける
現在、多くのカーナビゲーションシステムには標準的にVICS受信機能が備わっています。
まだ、カーナビが一般的ではなかった1997年の時点では、VICS車載機の出荷台数は累計約44万台に留まっていました。しかし、2024年6月時点でその数は約8,308万台に達しています。
年度ごとの出荷台数では、1997年には31万台でしたが2023年には358万台と、実に11倍以上となっています。
参考:VICS車載機出荷台数
古い型式のカーナビを手に入れる際には、VICS受信機能が内蔵されているか事前のチェックが必要です。もし非対応のカーナビでも、外付けのVICS受信機を設置すれば利用可能となります。
また、2015年4月からはVICSWIDEという改良版のサービスがスタートし、情報量が約2倍に増えています。このサービスでは、より精度の高い交通ルートのガイドが可能なだけでなく、大雨や津波、火山の噴火といった気象情報も表示されます。VICSWIDEを利用するためには、対応機種のカーナビが取り付けられている必要があります。
カーナビの選択においては、これらの点に注意を払い、最適な製品を選ぶことが重要です。
設定内容の確認をする
VICSの設定はカーナビにより異なりますが、メインメニューや現在地画面から簡単にアクセスできます。そして、設定画面では、交通情報の表示方法や受信に関するさまざまな機能をカスタマイズすることが可能です。
表示設定では、有料道路や一般道路上の渋滞情報、駐車場の混雑状況、交通規制といった情報を、必要に応じて選択することができます。特に渋滞情報については、渋滞や混雑している区間だけでなく、順調な区間の表示も選択できるため、より正確な所要時間の把握に役立ちます。
新しい規格であるETC2.0では、ドライバーへの通知方法を細かく設定できるほか、交通情報の更新間隔も調整可能です。また、車両の走行データや位置情報といったプローブ情報の送信設定も行えるため、最新の交通情報を活用して効率的なルート選択が可能になります。
VICSの伝達方法
VICSは、VICSセンターで集められた情報を加工し、FM多重放送、光ビーコン、電波ビーコンという3種類の方法で、カーナビにリアルタイムで道路交通情報を提供しています。それぞれのメディアの特徴や仕組みについて説明します。
FM多重放送
FM多重放送は、全国にあるNHKのFM放送局の音声信号を活用した情報提供サービスです。
受信地域をもとにした道路交通情報を音声とともに届けています。住んでいる地域に応じて最適な受信地域を選択できるのが特徴です。さらに、FMラジオ放送の電波内の隙間を使用し、同時にテキスト情報を送信する技術を用いています。
これにより、対応するラジオを使えば、ディスプレイにニュースや天気予報といった情報が映し出される仕組みです。「見えるラジオ」の愛称で親しまれ、道路交通情報だけではなく、音楽やニュースなど、日常生活に役立つ多様な情報を手軽に受け取れることが、FM多重放送の特徴といえます。
ビーコン通信
ビーコンとは、高速道路や幹線道路上に設置されている、無線による情報提供のシステムです。ビーコンから電波または赤外線を発し、渋滞や通行止め、所要時間などの情報を発信します。
ビーコンは、高速道路や主要な道路に設置された無線通信システムで、情報を提供する役割を果たしています。このシステムは、電波や赤外線を利用して、交通渋滞や通行止め、所要時間といった情報をドライバーに送信します。
電波ビーコン
電波ビーコンとは、無線通信を利用して情報を提供する装置のことで、おもに高速道路に設置されています。ETC2.0の導入により、従来の2.4GHz帯の電波ビーコンは2022年3月31日にサービスを終了し、現在は5.8GHz帯のETC2.0が主流となっています。
ETC2.0では、情報提供の範囲を200kmから1,000km程度に拡大し、高速道路に加えて一般道路やインターチェンジ付近の道路情報も網羅しています。
ETC2.0を利用することで、高速道路上での渋滞情報をもとにカーナビが最適なルートを再検索します。それにより、ドライバーはスムーズに目的地へ向かうことが可能になります。また、安全運転支援として、事故の多いポイントや路上の障害物に関する警告を表示し、ドライバーに事前に注意喚起を行います。
高速道路上に設置されているITSスポットは、ETC2.0対応車載器との双方向通信を可能にする路側機で、受信エリアはビーコン直下の前後20m程度となっています(従来の2.4GHz帯の場合は70m程度)。車載機は主に進行方向の情報を取得することが可能です。
ETC2.0を利用するには、対応するカーナビとETC車載器が必要です。
光ビーコン
光ビーコンは、路上に設置された送信機から赤外線を利用して情報を伝達する仕組みを指します。
光ビーコンが提供する情報は、車の進行方向を基準にして、前方30km以内と後方1km以内の一般道路および高速道路の交通状況に関するもので、受信エリアはビーコンの手前約3.5メートル程度とされています。
日本の一般道における主要な幹線道路に設置され、交通情報を提供し道路交通の効率化を図ることを目的としています。
VICSが提供する情報
VICSが提供する情報には、FM多重放送、電波ビーコン通信、光ビーコン通信を通じて得られる交通状況や渋滞情報、事故情報などが含まれます。それぞれについて解説していきます。
FM多重放送
VICSがFM多重放送により提供する情報には、道路の渋滞や混雑状況があります。その情報には、通るために必要な所要時間が含まれており、効率的なルート選択をサポートします。また、駐車場の位置や満車・空車の情報も取得可能で、目的地周辺での駐車場探しを容易にします。
これらの情報は、5分刻みで更新されるため、比較的リアルタイムに追従できますが、カーナビに実際に表示されるまで少し時間がかかることがあります。そのため、常に最新の情報を得られるとは限らないため注意が必要です。
さらに、事故や工事、災害、そして気象条件による道路の規制情報も提供しており、安全な運転を心掛けるうえで欠かせない情報となります。加えて、花火大会やマラソン大会といったイベントによる交通規制情報も含まれるため、特にイベントが多いシーズンには大変役立ちます。
電波ビーコン通信
VICSが提供する電波ビーコン通信は、進行方向の前方最大1,000kmにわたるリアルタイムの高速道路状況を届け、インターチェンジ付近の接続道路や一般道に関する情報も網羅しています。
具体的には、「渋滞や混雑」「所要時間の推計」「異常気象や事故」「工事」などによる規制情報が含まれています。また「サービスエリアやパーキングエリアに関する情報」「視覚的にわかりやすい簡易図形や画像」「音声による案内」も選択可能です。これにより、ドライバーはルートの選択や安全運転のサポートを受け、渋滞を回避し快適な運転を楽しむことができます。
光ビーコン通信
光ビーコンは一般道や高速道路の情報を提供しており、この技術を活用することで、ドライバーはさまざまな交通関連情報を手に入れることができます。
たとえば、渋滞や混雑の状況、道路交差点間の所要時間などの情報の取得が可能です。これにより、ドライバーはより効率的なルート選択ができ、移動時間の短縮が期待されます。また、駐車場の利用についても、位置や満車・空車の情報が提供され、目的地付近での駐車がスムーズになります。
さらに、交通に影響を及ぼす事故や工事など、各種の規制情報をはじめ、気象条件による道路状況の変化も把握することができます。安全性向上の観点から、出会い頭や追突を避けるための情報、信号見落としの防止といったドライバーをアシストする機能も備わっています。
まとめ
VICSについて解説しました。VICSを使用することで得られるメリットは多岐にわたります。
ドライバーはリアルタイムの交通情報を入手することで、渋滞を避けながら効率的に目的地へ向かうルートを選ぶことができ、運転のストレスが大幅に軽減されます。また、運転時の心理的な余裕が生まれ、安全性が向上することも大きな利点です。さらに、駐車場の満車・空車情報も瞬時に確認できるため、都市部やイベント開催中のエリアを訪れる際にも、効率良く駐車スペースを確保できます。
VICSの情報は、多くのドライバーに高い利便性を提供し続けており、これからもその重要性は高まり続けることでしょう。