社用車のナンバープレートは「白」「緑」?種類や取得方法について解説
自動車を所有する際に欠かせないのがナンバープレートの取得です。道路運送車両法に基づき、公道を走行する全ての車両に表示が義務付けられています。
ナンバープレートには、車両の識別と所有者の特定という重要な役割があります。正式な名称は、普通自動車の場合「自動車登録番号標」、軽自動車の場合は「車両番号標」です。ナンバープレートにはさまざまな情報が含まれており、その見方を理解することは車両の情報を知るためにも重要です。
近年では、図柄入りナンバープレートの導入や希望ナンバー制度の拡充など、ナンバープレートを取り巻く環境も変化しています。
本記事では、ナンバープレートの種類や見方、社用車におけるナンバープレートの取得方法について詳しく解説します。
社用車のナンバープレートの種類
社用車の場合、ナンバープレートの種類はその使用目的や車両の分類に応じて白ナンバーと緑ナンバーに分かれます。社用車を登録する際には、用途に応じたナンバープレートを取得する必要があります。ナンバープレートの種類が異なることで、税金や保険料、さらには運転管理の面での規制が変わるため、正しいナンバープレートを取得することが重要です。
白ナンバー
一般的に「自家用」を意味する白ナンバーは、私用での使用に加え企業の業務用としても使用できるのです。プレートの色は、白地に緑文字で表記されています。
具体的には、自社製品の納品や自社の荷物の運搬に使用する場合には、白ナンバー車での運用が認められています。ただし、他社の荷物を運ぶ場合は、後述する事業用の緑ナンバーが必要となりますので注意が必要でしょう。
白ナンバー車は、道路運送車両法に基づく点検整備の基準が定められています。1年ごとに定められた定期点検実施が義務です。
また、車検については、白ナンバー車は新車初回が3年、それ以降は2年となっています。これは営業車や社用車といった業務での使用も含めた基準となっているため、一般的な自家用車と同じ扱いとなるわけです。
緑ナンバー
緑ナンバーは他社からの依頼で荷物を輸送をしたり、タクシーやバスのように人の送迎をする車両に指定されているナンバープレートです。プレートの色は、緑地に白文字で表記されており、白ナンバープレートとは逆の配色になっています。
一方で、点検整備や車検については、白ナンバー車より厳格な基準が課せられています。点検整備は3ヶ月に1回の実施が義務付けられています。
車検についても違いがあり、緑ナンバー車は新車・中古車を問わず毎年の検査が必要です。白ナンバー車の場合、新車初回は3年、それ以降は2年となっているため、緑ナンバー車の方が管理面での負担が大きくなります。
これらの規定は道路運送車両法によって定められており、違反した場合は法的な制裁の対象となります。
ナンバープレートの見方
ナンバープレートにはいくつかの項目が記載されており、それぞれが特定の意味を持っています。
①運輸支局、自動車検査登録事務所または地域名
ナンバープレートには地域名が記載されています。これは車両の「使用の本拠の位置」を示す重要な情報で、運輸支局や自動車検査登録事務所の管轄地域に基づいて決められているのです。
「使用の本拠の位置」とは、車庫証明や車庫届出の申請書類に記載される場所のことを指します。通常は車の使用者の現住所と一致することが多く、その地域を管轄する運輸支局等の名称がナンバープレートに表示されるという仕組みになります。これにより、車両がどの地域で登録されたものかが一目で判別できます。
たとえば東京都では「品川」「足立」「八王子」といった地域名が見られます。大阪府では「なにわ」「大阪」「堺」など、愛知県では「名古屋」「豊橋」「尾張小牧」といった具合に、それぞれの地域特性が反映されています。
都道府県によって管轄の区分け方は異なります。京都府の場合、府全域が一つの運輸支局・自動車検査登録事務所の管轄下にあるため、京都市在住でも舞鶴市在住でも「京都」ナンバーとなります。一方で神奈川県は「横浜」「川崎」「相模」「湘南」の4つのエリアに分かれており、横浜市なら「横浜」、小田原市なら「湘南」ナンバーが割り当てられます。
②分類番号
ナンバープレートには分類番号も記載されています。この番号は、車両の種類や用途を示す識別記号として機能しており、3桁で表されます。
分類番号の1桁目を見れば、その車両の基本的な性質が分かります。たとえば、普通乗用車は「3」から始まり、小型乗用車は「5」から始まるのが特徴です。このため、世間一般では「3ナンバー」「5ナンバー」という呼び方が定着しているのです。
具体的な分類では、1〜3が普通車、4〜7が小型車を表します。1は普通貨物車、2は定員11人以上の普通乗合車、3は定員10人以下の普通乗用車を示しています。また、4と6は小型・軽貨物車、5と7は小型・軽乗用車となっているのです。特殊な用途の車両については、8が特殊用途自動車、9と0が大型特殊自動車を表現しています。
分類番号の下2桁は、後述する一連指定番号が申請者の希望したものかどうかを示す役割も担っています。たとえば、分類番号の1桁目が1〜3で希望ナンバーにしている場合には、下2桁は10〜98、希望ナンバーにしていない場合は00~09となるのです。
1999年からは希望番号制度が始まり、人気のある番号の需要増加に対応するため、分類番号の下2桁にアルファベットを使用するようになりました。「30A」のような表記も、こうした背景から生まれたものです。現在では10種類のアルファベットが使用され、より多くの組み合わせが可能となっています。
このように、一見シンプルな数字の並びにも、車両に関する様々な情報が込められています。
③かな文字
ナンバープレートには、分類番号に続いて「かな文字」が記載されます。このかな文字は、その車両の用途や種類を一目で判別できる識別記号です。
自家用車には「さすせそ」「たちつてと」「なにぬねの」などが割り当てられ、事業用車両には「あいうえ」「かきくけこ」「を」が使用されます。また、レンタカーには「われ」が当てられています。
「お」「し」「へ」「ん」の4文字は使用されていません。「お」は「あ」「す」「む」との混同を避けるため、「し」は不吉な印象を与えかねないことから除外されました。同様に「へ」も好ましくない連想を招く恐れがあり、「ん」は発音のしづらさから採用が見送られたのです。
このように体系的に整理された「かな文字」によって、私たちは道路を走る車両の属性を把握できます。
④一連指定番号
ナンバープレートの最後には「一連指定番号」が記載されます。この番号は、車両を明確に識別するための要素であり、各車両に固有の番号が割り当てられるのです。
一連指定番号は、ナンバープレートの中央下部に配置された4桁の数字で表示されています。基本的に「0001」から「9999」までの範囲で、申請順に番号が指定されていきますが、所有者が希望する番号を申し込むことも可能です。たとえば、誕生日や記念日など、思い入れのある数字を選択する人も少なくありません。
この番号システムは、車両管理において実用的な役割を果たしています。警察による取り締まりや事故時の車両特定、あるいは盗難車の追跡などにも活用されるからです。また、自動車税の徴収や車検制度の管理においても、この一連指定番号が識別子となっているのです。
このように、一連指定番号は車両の「身分証明書」としての役割を担っているといえるでしょう。
運輸支局での手続きの際には、この一連指定番号を使って該当する車両の情報が検索できる仕組みになっています。効率的な行政サービスを実現するうえで、欠かせない制度なのです。
社用車のナンバープレートの取得方法
社用車のナンバープレートは、車両の購入後に適切な手続きを経て取得する必要があります。ナンバープレートの取得方法は、車両が「自家用車(白ナンバー)」か「事業用車(緑ナンバー)」かによって異なります。
白ナンバーの場合
白ナンバープレートの取得の流れは比較的シンプルですが、いくつかのステップを踏む必要があります。
- ステップ1:必要書類を準備する
- ステップ2:自動車保管場所証明書(車庫証明)を取得する
- ステップ3:運輸支局に申請を行う
- ステップ4:手続き完了後、白ナンバーのナンバープレートを受け取る
必要書類の準備
運輸支局への新規登録申請から始まり、申請書類の準備が必要です。必要な書類には、新規登録申請書、所定の手数料納付書、自動車重量税納付書などが含まれています。所有者の印鑑証明書は、発行から3ヶ月以内のものを用意しましょう。
自動車保管場所証明書(車庫証明)の取得
車両の保管場所も重要な要素です。自動車保管場所証明書(車庫証明)が必要な地域では、使用者の名義で証明書を取得する必要があります。これは警察署で発行され、証明日から概ね1ヶ月以内のものが有効となっています。
運輸支局に申請を行う
個人で申請する場合は、住民票や印鑑証明書など、本人確認書類の提出が必須です。また、代理人に依頼する際は、所有者の実印を押印した委任状を準備しなければなりません。
白ナンバーのナンバープレートを受け取る
手続きが完了すると、白地に緑文字のナンバープレートが発行されます。希望ナンバーではない場合、申請から取得までの期間は通常2〜3日程度で、手数料や重量税などの費用が発生することには留意しなければなりません。
なお、未成年者が所有者となる場合は、親権者の同意書や戸籍謄本など、追加の書類が必要となるため、事前に確認することをおすすめします。
緑ナンバーの場合
緑ナンバーのナンバープレートを取得するためには、白ナンバーとは異なり複雑な手続きが必要です。
- ステップ1:運輸局または地方運輸支局に基本書類を提出する
- ステップ2:常勤役員が法令試験を受験し合格する
- ステップ3:登録免許税の納付、追加書類を提出する
- ステップ4:手続き完了後、緑ナンバーのナンバープレートを取得する
運輸局または地方運輸支局に基本書類を提出
運輸局または地方運輸支局に事業用自動車等連絡書や車検証などの基本書類を提出しなければなりません。
その後、事業者としての適格性を証明するため、企業の登記簿謄本や定款、決算書といった経営状況を示す書類も求められる場合があります。また、事業所や車庫の平面図や運行管理者の資格証明など、安全な運行体制を確保するための書類も必要になる可能性があります。
常勤役員が法令試験を受験し合格する
審査は通常3〜5カ月ほどかかり、その間に役員が法令試験を受験する必要があります。この試験は2カ月に1回の頻度で実施され、最低でも常勤役員1名の合格が求められているのです。
登録免許税を納付、追加書類の提出
審査に合格した後は、12万円の登録免許税を納付します。その後、運輸開始届出書などの追加書類を提出します。
緑ナンバーのナンバープレートを受け取る
緑ナンバーの取得手続きが完了となり、緑地に白地のナンバープレートが発行されます。
実務経験豊富な行政書士に依頼することで、複雑な申請手続きをスムーズに進められる場合もあります。
これらの厳格な審査や手続きは、事業用自動車の安全性と信頼性を確保するために設けられた重要な制度です。
白ナンバーから緑ナンバーに変更する場合
すでに自家用車として登録されている車両を事業用車に変更する場合、ナンバープレートの変更が必要です。ただし、単純なナンバープレートの付け替えだけでは完了しません。
- ステップ1:必要台数および営業所の確保、運行管理者と整備管理者の選任
- ステップ2:必要書類を準備し、管轄の運輸支局に提出する
- ステップ3:常務役員1名が役員法令試験を受験し、合格する
- ステップ4:登録免許税を納付、許可書交付式に出席、運行管理者等の選任届を提出する
- ステップ5:緑ナンバーの取得後、事業用自動車保険に加入し、運輸開始届を提出する
必要台数および営業所の確保、運行管理者と整備管理者の選任
まず運送業を事業として始めるための許可の取得が必要になります。許可の取得には、必要なトラック台数や営業所、車庫などの基準を満たしているか確認することから始まります。具体的には、5台以上のトラックと、法令に準拠した営業所および車庫の確保が求められます。また、運行管理者と整備管理者の選任も必要です。
必要書類の準備および管轄の運輸支局に提出
申請に際しては、事業計画書や賃貸借契約書、残高証明書などの書類を準備し、管轄の運輸支局を通じて提出します。
役員法令試験を合格する
その後、申請者の常務役員1名が役員法令試験を受験し、合格する必要があります。審査には通常3〜5ヶ月ほどかかりますが、この間に2回目の残高証明書の提出も求められるでしょう。
登録免許税の納付、許可書交付式に出席、運行管理者等の選任届の提出
許可が下りた後は、登録免許税の納付や許可書交付式への出席、運行管理者等の選任届の提出といった手続きを経て、ようやく緑ナンバーの取得が可能となります。
事業用自動車保険に加入、運輸開始届を提出
最後に、事業用自動車保険への加入を済ませ、運輸開始届を提出することで、ようやく事業用車両としての運行が可能となるのです。
まとめ
ナンバープレートは、自動車を正しく登録し、道路を走行できることを証明する重要な要素です。ナンバープレートには地域名や分類番号、かな文字、一連指定番号などの情報が記載されており、その意味を理解することは車両の管理に役立ちます。
社用車の場合、使用目的に応じたナンバープレートを取得する必要があり、自家用車や事業用車に適した手続きを踏むことが求められます。ナンバープレートの取得方法や変更方法についても理解しておくことで、円滑な車両管理が可能になります。