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ETCが使えなくなる?2022年問題と2030年問題について解説

oPPice編集部

ETCが使えなくなる?2022年問題と2030年問題について解説

ETCとは?

ETCは「Electronic Toll Collection System」の略です。直訳すると「電子式料金自動収受システム」となります。今や高速道路利用者の94%(国土交通省令和4年10月のデータ)が利用しているというETCについての概要を説明します。

参考:国土交通省「ETCの利用状況」

ETCの概要

ETCとは、高速道路における自動料金支払いシステムのことです。料金所ゲートに設置されたアンテナと車載器との無線交信を通じて料金を支払う仕組みとなっています。このシステムを利用することにより、ETCを搭載した車両はスムーズに料金所を通過でき、渋滞の原因となる一時停止を避けられます。

実際に東日本・中日本・西日本高速道路株式会社の調査では、料金所が渋滞発生場所の第1位を占め、全体の30%を占めていることが明らかになっています。この問題に対応するため、料金所の拡幅工事を伴わないETCの導入が進んだのです。 現金を用意する必要がないため、キャッシュレス社会に適した便利なシステムとなっており、ETCの利用により発進や停止の繰り返しが減少し、排気ガスや騒音の削減につながっています。

また、ETCカードはクレジットカード会社や高速道路会社が発行し、カードと車載器を準備すれば全国の道路で使用が可能です。すでに導入済みの道路はもちろん、将来的に導入予定の道路にも同じシステムで対応するため、ETCカードや車載器の使い分けは必要ありません。

ETC2.0とは

ETC2.0は、全国の高速道路に設置されたITSスポットとETCカードを使った、双方向で高速、かつ大容量な通信を実現し広範囲の交通情報を提供します。従来は都道府県単位での情報提供が主流でしたが、ETC2.0では約1,000kmの範囲までの渋滞情報を取得できます。これにより、目的地までの最適なルート選択が可能になり、移動時間の短縮が可能になります。 ETC2.0は、単に文字や簡易型図形だけでなく、静止画像を提供する機能も備えており、ドライバーは前方の状況や気象条件を視覚的に確認できます。このシステムは「DSRC-SPF」といわれる高度なセキュリティ技術により保護されており、安全に利用が可能です。

新たな取り組みとして、渋滞を回避するルートを通行したドライバーを優遇する措置が検討されています。この優遇を受けるためには、自分がどのルートを通行したかの情報を提供することが必要です。ETC2.0対応のカーナビゲーションからは、個人を特定せずに情報が収集され、その情報を活用してドライバーにさらなるメリットを提供します。

ETCの利用に必要なもの

ETCカードを利用するには、まずクレジット会社や高速道路会社が発行するETCカードを取得する必要があります。このカードは法人または個人単位で発行され、名義人のみが使用可能です。ETCカードは、ETC車載器が設置された車両であれば、名義人が所有する車両以外でも利用できるため、車両所有者ではなくカード名義人が通行料金を支払えます。

ETCの車載器はカーディーラーやカー用品店、自動車整備工場で購入し取り付けできますが、取り付けには専門的な技術が求められます。メーカー指定の方法以外で簡易的に設置された車載器は、利用規程に違反するため利用することも保証を受けることもできません。また、車載器を複数台設置はできないので、既存の車載器がある場合は取り外しが必要です。

ETCは通信と料金支払いに関する規格が統一されており、車載器のメーカーとカード発行会社の組み合わせにかかわらず使用できます。そのため、レンタカーの車載器でも個人のETCカードを挿入して利用可能です。

法人用ETCカードについてはこちらの記事をご覧ください。

https://oppice.parkingmarket.co.jp/article/manegement/997/

ETCが使えなくなる?

テレビや新聞等で、ETCが使用できなくなるというニュースを目にすることがありますが、実際にはどのような内容なのでしょうか。「2022年問題」「2030年問題」といわれるその問題について説明します。

ETCの「2022年問題」とは?

まず、すでに過去の西暦である「2022年問題」について説明します。

「2022年問題」の概要

2005年12月に「電波法」が改正され、無線通信時に発生する「スプリアス」と呼ばれる不要電波の許容値がより厳格になりました。そして、2007年12月から全面的に適用されています。

ただし、法改正前に旧基準で認証を受けた無線設備については、2022年11月末まで一定の猶予期間が設けられて使用が許可されていました。この猶予期間が終了する2022年12月1日以降、それらのETC車載器は法律上使用できなくなりました。不必要な電波を低減し、電波利用環境の維持と向上を目指すために必要な策となっています。

対象となるETC車載器で通行は可能?

新型コロナウイルスの影響で設備製造や無線局の移行に遅れが生じたため、総務省は2021年8月に期限を「当分の間」延長すると発表しました。現在も猶予期間が続いています。

この問題は法改正により一部のETC車載器の使用が禁止されるものの、ETCシステム自体には変更がありません。そのため、猶予期限後も対象の車載器でETCを通過すること自体は可能です。ただし、これは電波法違反となるため処罰を受ける可能性があります。

参考:総務省ホームページ

ETCの「2030年問題」とは?

つづいて、これから問題となるであろう「2030年問題」について説明します。

「2030年問題」の概要

国土交通省は2017年10月、サイバー攻撃などの脅威に備えたセキュリティ規格のシステム変更を発表しました。昨今のIT技術の進化により脅威が増大しているなか、情報漏洩や不正改ざんのリスクを軽減するためです。

新しいセキュリティ規格の内容はすでに定められており、対応するETC車載器も順次発売されています。現行のETCシステムは新旧両方の規格に対応していますが、将来的には新規格のみに移行する予定です。「2030年問題」とは、その規格変更の時期が「最長で2030年頃まで」とされていることに由来します。国土交通省の方針では、大きな問題がなければ2030年頃までに変更を行うとしていますが、何らかの脅威が発生した場合は変更時期が早まる可能性もあります。

そのため、新しいセキュリティ規格に対応していない機種は、近い将来使用できなくなります。今後もETC車載器を安心して利用したい場合には、新規格対応モデルへの買い替えを検討する必要があるでしょう。

対象となるETC車載器で通行は可能?

「2022年問題」の対象機種は、猶予期間終了後も物理的にはETCゲートを通過できます。しかし「2030年問題」の場合、対象機種となる旧規格のETC車載器はセキュリティ規格変更後のETCゲートを通過できなくなります。

このため、旧型のETC車載器のままで通過しようとすると、ゲートが開かず衝突したり、後続車に追突されたりと、重大な事故を招く危険性があります。

「2022年問題」と「2030年問題」の違い

「2022年問題」は、2005年に電波法関連法案が改正されたことにより、2007年以前に製造されたETC車載器の多くが、2022年12月1日以降使用できなくなるという問題です。これは、古い車載器が現行の電波法の規格を満たしていないためです。

一方「2030年問題」は、国土交通省が昨今のIT機器の能力向上に伴う脅威の増大に備え、2030年までにETCシステムのセキュリティ規格を変更すると発表したことにより、旧規格のETC車載器はセキュリティ規格変更後のETCゲートを通過できなくなる問題です。これは車載器だけの問題ではなく、システム全体の大規模な見直しとなります。

使えなくなるETC車載器の見分け方

最後に、それぞれの問題で使用できなくなるETC車載器の特徴について説明します。

「2022年問題」で使えなくなるETC車載器

新しい電波法の基準に適合していない旧規格で製造されたETC車載器は2022年12月からは法律上使用が認められなくなります。それ以降、知らずに旧規格のETC車載器を使って高速道路を利用したり、電波が発生する状態で車に搭載した場合、免許が必要な無線機器の「不法設置・運用」と見なされます。

そうなると「電波法違反」に該当し、「不法設置・運用」に対しては1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科される可能性があります。さらに、公共性の高い無線局に妨害を与えてしまった場合には、5年以下の懲役または250万円以下の罰金という、より厳しい処罰が課される可能性もあります。

「2030年問題」で使えなくなるETC車載器

車載器管理番号で確認する方法

車載器管理番号で確認する方法

※国土交通省「新・旧セキュリティ対応車載器の識別方法」を加工して作成

車載器が新規格に対応しているかどうかは、19桁の「車載器管理番号」で確認できます。この番号は、製品購入や取り付け時に商品に付随していたり、販売店から受け取った「取り扱い説明書」「保証書」「セットアップ申込書」「証明書」などの書類に記載されています。そして、その番号の1桁目が「1」であれば、新しいセキュリティ規格に対応したモデルであることを示しています。一方、「0」で始まる場合は旧規格のモデルとなります。

車載器本体で確認する方法

車載器本体で確認する方法

製品の外見からも新旧を判別できる特徴があります。新しいセキュリティ規格に対応したモデルには「●●●」マークが付いています。

車載器本体で確認する方法

※国土交通省「新・旧セキュリティ対応車載器の識別方法」より引用

「ETC2.0」のロゴがある場合は、「■」マークはついていません。 一方、旧規格のモデルは「●●●」マークがなく、「DSRC ETC」のロゴがあるか、「ETC2.0」のロゴと「■」マークの両方がついている点が特徴です。

まとめ

ETCの「2022年問題」「2030年問題」について解説してきました。お手元のETC車載器がこれらの問題に対応しているかを確認し、もし古い規格であればこの機会に新しい規格に対応したETC車載器への買い替えを検討してはいかがでしょうか。新しい車載器は、セキュリティ面が強化されているだけでなく、ETC2.0のサービスにも対応しており、より快適で安全なドライブを楽しめるようになります。

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